巻頭言
「総合」の視点の大切さ
小川 浩
1
1大妻女子大学人間関係学部
pp.1079
発行日 2025年11月10日
Published Date 2025/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220530111079
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今から約40年前,私がこの分野で働くことを志した頃,「リハビリテーション」という言葉には,「福祉」とは異なる力強さと独特の魅力があったように記憶しています.医学的・社会的・心理的・教育的という4つの柱が一体となった「総合リハビリテーション」は,理論的にも実践的にも先進的で,明確な道しるべでありました.
その後,ある総合リハビリテーションセンターで知的障害者施設の生活支援員として働き始めると,そのセンターは「リハビリテーション部」と「福祉部」に分かれており,前者は主に医学的・心理的支援を担い,私が所属する後者は日々の生活支援に追われる毎日でした.とはいえ,アセスメントに基づく個別支援計画の作成や,多職種によるケース会議の実施は当然のこととされ,それぞれの専門性を尊重しながら支援を構築する文化が根づいていました.これは「総合リハビリテーション」の理念と,それを支える人材育成が存在していたからだと感じます.
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