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はじめに
地域で暮らすことのできるサービスが拡充され,疾病や障害を抱えながらも住み慣れた地域で自分らしい生活を継続したいというニーズは高まっている.
コールメディカルクリニック広島(以下,当院)は広島市にある在宅医療専門クリニックで,医師11名(うちリハビリテーション科医師1名),療法士12名(理学療法士5名,作業療法士4名,言語聴覚士3名)が在籍し,訪問診療,訪問リハビリテーション,デイケアを行っている.生活期における下肢装具は,主に長下肢装具や短下肢装具が用いられ,治療用装具の新規作製や更生用装具への変更を利用者の背景に合わせて支援している.
入院中に装具を作製できずに退院し,自宅で装具療法を開始することで効果を認める者や,装具を使用しリハビリテーションを継続しても痙縮の増悪により,装具の変更を必要とする者も存在する.生活期では身体状況の変化,装具の経年劣化,生活環境との不適合など,さまざまな問題が生じる可能性がある.装具が利用者の身体や生活に適合し,その効果を最大限に発揮するために,継続的なフォローアップが重要となる.特に,通院が困難な在宅療養者にとって,生活場面に即した支援が可能な訪問リハビリテーションによるフォローアップが有用である.
本稿では,広島市における装具処方の現状と課題を概観し,次いで理学療法士の義肢装具に関する教育制度について報告する.そのうえで,当院での訪問リハビリテーションにおける装具使用者のフォローアップに,具体的にどのような役割や支援が必要とされ,提供できるのか,現状を報告する.本稿を通じて,訪問リハビリテーションにおける義肢装具フォローアップの重要性を理解し,より質の高い在宅支援体制の構築に貢献できれば幸いである.

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