簡易上肢機能検査（STEF）の評価特性検討研究に対するスコーピングレビュー

A Scoping review of the psychometric properties of the Simple Test for Evaluating Hand Function using the COSMIN study design checklist

要旨　［はじめに］近年，臨床で用いる評価ツールに対して，検討すべき多様な評価特性とその研究デザインが明確になりつつある．本邦では，上肢機能評価のために簡易上肢機能検査（Simple Test for Evaluating Hand Function：STEF）が臨床現場で広く使用されている．しかし，STEFの評価特性と研究デザインの質を体系的にまとめた報告は見受けられない．［目的］本研究の目的は，STEFに対する評価特性研究を同定し，その研究デザインの質を評価することである．［方法］本研究の研究デザインは，スコーピングレビューである．加えて，同定された各研究に対する研究デザインの質をCOnsensus-based Standards for the selection of health Measurement INstruments（COSMIN）チェックリストにより評価した．［結果］最終的に13本の報告が対象となった（うち9本は日本語の論文）．その評価特性の内訳は，「内的一貫性」が1件，「信頼性」が3件，「基準妥当性」が1件，「仮説検証（A）」が10件，「仮説検証（B）」が2件，「反応性（B）」が2件，「反応性（D）」が1件であった．そのうち，研究デザインの質が十分であると判断されたのは全体の半数以下であり，項目別にみると研究デザインの質が不十分という評価がすべての研究において確認された．［結論］本レビューの結果，STEFの評価特性に関するさらなる質の高い研究の必要性が明らかになった．