Japanese
English
実践講座 嚥下障害の評価の実際・3
訪問診療を受けていて食べている高齢症例に対して誰でもできる嚥下障害の評価
Evaluation of dysphagia that anyone can do for elderly patients who are receiving home medical care or eating
大野木 宏彰
1
Hiroaki Onoki
1
1嚥下リハサポート
1Swallowing Rehabilitation Support
キーワード:
頸部聴診法
,
異常音
,
咽頭クリアランス
,
咀嚼・食塊形成機能
,
嚥下反射のタイミング
Keyword:
頸部聴診法
,
異常音
,
咽頭クリアランス
,
咀嚼・食塊形成機能
,
嚥下反射のタイミング
pp.603-609
発行日 2025年6月10日
Published Date 2025/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220530060603
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はじめに
嚥下評価のゴールドスタンダードといわれる嚥下造影検査(videofluoroscopic examination of swallowing:VF)・嚥下内視鏡検査(videoendoscopic evaluation of swallowing:VE)は,施設や在宅などでは行えないことがほとんどである.VEに関しては施設や在宅などで実施する医師や歯科医師もいるものの,まだ少数であり,臨機応変に検査を行える環境は整っていない.施設入居者,在宅療養高齢者において,本人の摂食嚥下機能と実際に食べている食事形態に大きく乖離がみられるといわれるのは,そのような環境も影響していると思われる.
超高齢社会の今,嚥下障害が顕在化していたり,顕在化はしていないもののオーラルフレイルや老嚥といわれる嚥下機能低下が進行していたりする高齢者が非常に多くなっている.誤嚥性肺炎で入院してから嚥下障害の評価・指導を行うのではなく,在宅や施設にいる段階で嚥下障害の早期発見・対応や,経時的な変化の評価・対応ができる人材や体制づくりが,今後さらに重要になるだろう.
そこで本稿では,聴診器を使用し頸部の嚥下音や呼吸音を聴取することで咽頭期の評価に有用とされる頸部聴診法を中心に,施設や在宅で行える簡便で有効な嚥下評価の方法について解説したい.

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