書評
尿路結石症の外科的治療―井上貴昭,岡田真介,濵本周造 著
三浦 浩康
1
1はちのへ江陽クリニック
pp.415
発行日 2025年4月20日
Published Date 2025/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038523930790050415
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国内で年間8万人以上が手術を受ける上部尿路結石症であるが,これまで時代にあった本当にわかりやすい外科的治療のための教科書といえるものはなかった.尿路結石症ガイドラインや文献を眺め,または近くにいる先輩の意見を聞きながら不安の中で治療に当たってきたというのが本音であろう.朗報である.この度本邦を代表する3名のエキスパートのTips&Tricks全部が書かれた本書『尿路結石症の外科的治療』が刊行された.長年の経験からしか知り得ない誰も教えてくれなかった知識がこの一冊に濃縮された,これぞ待望の必読必携の教科書である.
本書は第Ⅰ部 上部尿路結石外科的治療の基礎知識,第Ⅱ部 上部尿路結石外科的治療の実際,第Ⅲ部 Case Discussionの3部構成となっている.第Ⅰ部においては用語解説から外科的治療の歴史変遷,治療機器やデバイスが写真や表でわかりやすく解説されており,さらに結石治療ガイドラインをベースにエキスパート視点からの治療戦略,術前の合併症予防対策にまで詳細に触れている.第Ⅱ部ではSWL,URS,PCNL/ECIRS,腎・尿管切石術の4項目に分かれている.それぞれにおいて手術体位,準備,機器の設定,治療手技,デバイスの使い方などを多くのイラストや写真を使用し詳細に解説している.第Ⅲ部は特に本書の魅力である.ベテランでも難渋する15例の実際の手術と臨床経過を提示し,手術手技やコツ,そして注意点,トラブルシューティングなど手の内を隠すことなく詳述され,さらに合併症予防対策などもしっかりと盛り込まれている.これを知ればもう結石治療で迷うことはない.

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