連載 医療機関で起きる法的トラブルへの対処法・50
病院の倒産—取り得る選択肢とその手続き
森 恵一
1
1弁護士法人 色川法律事務所
pp.480-483
発行日 2025年6月1日
Published Date 2025/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038523770840060480
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■1 背景事情
医療・福祉施設が新型コロナウイルス流行下で受けた実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)が2025年夏ごろに返済開始のヤマ場を迎える★2,ゼロゼロ融資の負債総額は2兆円強に上り,物価高で高水準にある倒産件数のさらなる増加が懸念される,医療機関のM&A(合併・買収)の呼び水になる,などの報道がされています.また,その報道によれば,実際に2024年6月20日に長崎県佐世保市で病床数180の病院を運営する医療法人が,負債約11億円を抱えて廃業し長崎地方裁判所に破産を申し立てたとのことです.
ほかにも,株式会社帝国データバンクによれば,「2024年の医療機関(病院・診療所・歯科医院を経営する事業者)の倒産(法的整理,負債1000万円以上)は64件となり,2009年(52件)を大きく上回って過去最多を更新した」とのことです★3.

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