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連載講座 細胞の完全理解は可能か?—生物物理学的視点からの問い・2
タンパク質に関するいろいろな数字
Characteristic number of proteins
市川 一寿
1
Ichikawa Kazuhisa
1
1株式会社True Cell Simulations
キーワード:
複雑さ
,
分子数
,
混雑度
,
翻訳後修飾
,
ターンオーバー
Keyword:
複雑さ
,
分子数
,
混雑度
,
翻訳後修飾
,
ターンオーバー
pp.178-183
発行日 2026年4月15日
Published Date 2026/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.037095310770020178
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1950年から始まる75年で細胞生物学が分子細胞生物学へと進展し,それまでの悶々が払拭されたことを第1回に述べた。しかしそれと同時に,そして当然ながら新たな悶々が出現し,メカニズムの詳細が明らかになればなるほどその度合いは大きくなった。この最大の原因は細胞の複雑さである。75年前は「たぶん複雑だろう」程度の漠然としたものであったが,解明が進むにつれ,タンパク質の種類の多さに直面した。しかしこれは入口にすぎず,その後,想像を超えるタンパク質動態とその複雑さが明らかになった。例えば,アミノ酸配列が同じでも翻訳後修飾で機能が変化し,複合体を形成し,細胞全体への分布も,局在も,移動もあることを知った。しかもこれらは,いずれも遺伝子による直接的制御が及ばない領域であった。細胞は「何だかわからない」から「どう理解したらいいかわからない」へと,悶々の内容が変化したのである。
対象がいかに複雑であろうとも,分類でき,一定の考え方の下に整理できれば理解の対象である。ところが現状ではそこまで到達していないし,到達できるかどうかも不明である。しかしこれは進歩である。なぜなら,それまで記述できなかった複雑さの中身を,われわれはかなり具体的に記述できるようになったからである。そこで連載第2回では,新たな悶々からの脱出に役立つことを信じつつ,タンパク質に関わる数字を通して複雑さを考える。

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