細胞流動から見えてきた新たな左右非対称性

Revisiting the initiation of left-right asymmetry in amniotes through cellular flow

　原腸形成期に起こる細胞流動は，進化的に共通してみられる生命現象である。羊膜類モデル生物であるニワトリでは，原腸形成初期，左右両側で渦状の細胞流動が起こる。ポーランドの民族舞踊にちなみ“ポロネーズ運動”と名づけられたこの現象は，発見当初から左右対称な動きを示すと考えられてきた。しかし，筆者らの研究成果からポロネーズ運動の左右非対称な動きが明らかになり，ニワトリ胚での左右非対称性は定説よりも早くから存在することが認められた。本稿では，細胞流動から左右非対称性を捉える研究を紹介する。