Japanese
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特集 顔の科学
Ⅰ.発生と進化
発生系譜解析から考える頭蓋底前部構造の成り立ち
The origin of the anterior cranial base structure based on developmental lineage analysis
和田 直之
1
Wada Naoyuki
1
1東京理科大学創域理工学部生命生物科学科
キーワード:
梁軟骨
,
総梁軟骨
,
発生系譜
,
口窩
,
頭部神経堤細胞
Keyword:
梁軟骨
,
総梁軟骨
,
発生系譜
,
口窩
,
頭部神経堤細胞
pp.203-207
発行日 2025年6月15日
Published Date 2025/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.037095310760030203
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頭蓋底骨格のうち,下垂体窩から篩骨前端に至る正中領域は脳胞の受け皿であり,また眼胞や耳胞,鼻殻などと一まとまりの構造を形成して顔面の形態に影響する。頭蓋底骨格の異常は顔面形態の異常となり,また進化においては顔面形態の違いを頭蓋底形態の違いにみることができる。そのため,頭蓋底骨格の発生の理解は,医学分野・生物学分野に共通して重要であるものの,その初期発生の詳細な研究や解説は少ない。これは,頭蓋底骨格が脳胞の下部に形成される構造であり,頭蓋冠や顔面骨格のように外部から観察するのが難しい(とされてきた)ためではないかと考えられる。
筆者は,頭蓋底骨格原基として最初に形成される梁軟骨および関連骨格の初期発生を調べている。本稿では,そのなかで得られた知見を基に,主に篩骨領域の成り立ちについて,広く脊椎動物を通して共通なこと,種間で異なることを述べたい。なお,篩骨や蝶形骨についての組織学的・形態学的視点からの総合的な解説として,文献1,2を挙げておきたい。

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