Japanese
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特集 関わり合う脳
Ⅲ.争う脳
小脳グリア細胞が攻撃行動制御に果たす役割
Control of aggressive behavior by the cerebellar glia
松井 広
1
Matsui Ko
1
1東北大学大学院生命科学研究科超回路脳機能分野
キーワード:
小脳
,
アストロサイト
,
脳波
,
シータ波
,
細胞内pH
Keyword:
小脳
,
アストロサイト
,
脳波
,
シータ波
,
細胞内pH
pp.62-67
発行日 2025年2月15日
Published Date 2025/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.037095310760010062
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ヒトやマウスにおいて,同種の個体間で攻撃行動が認められることがある。攻撃性は,個体の生存や適応を有利に導く一方,制御できないほどの攻撃行動は円滑な社会生活に悪影響を及ぼす。したがって,社会性動物は,攻撃性を適切に調整するメカニズムを必要とする。威嚇や噛みつきなどの攻撃行動自体は,運動野からの指令によって筋肉が動かされた結果として表出されるが,攻撃行動が出やすい・出にくい状態(ステート)を脳神経回路に数秒以上にわたり維持させる機構を通して,“攻撃性”は制御されていると考えられる。
本稿で紹介する研究1)では,攻撃性を調整するメカニズムとして,小脳のグリア細胞の役割に着目した。小脳は運動機能調整や運動学習に関わる脳領域であるが,臨床の現場では,小脳と社会行動との関連が古くから指摘されてきた。そこで,本研究ではマウスの雄を用いて,攻撃性を惹起させる居住者-侵入者行動試験を実施し,小脳の活動と攻撃行動との関連を探究した。
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