増刊号 眼科診療のピットフォールあるある—対応スキル爆上げのヒント
6.網膜血管障害
糖尿病患者の診察③—原点回帰! 押さえておきたい鑑別診断と確認すべき全身性リスク因子
鈴村 文那
1
1名古屋大学大学院医学系研究科眼科学・感覚器障害制御学教室
キーワード:
SGLT2
,
フェノフィブラート
,
OSA
Keyword:
SGLT2
,
フェノフィブラート
,
OSA
pp.177-183
発行日 2025年10月30日
Published Date 2025/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.037055790790110177
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はじめに
糖尿病患者の視力を脅かす糖尿病網膜症(diabetic retinopathy:DR)や糖尿病黄斑浮腫(diabetic macular edema:DME)の診断・治療アプローチは,近年著しい進歩を遂げている。最新の画像診断技術,血管内皮増殖因子(VEGF)阻害薬の普及,そして硝子体手術の技術革新によって治療成績は飛躍的に向上している。その一方で,DRやDMEと類似した臨床像を示す疾患との鑑別診断の重要性が高まっており,また最新の治療法や診断技術に目を奪われるあまりに,DRやDMEの病態と関連がある全身状態の管理がおろそかになってしまうという落とし穴に陥りやすいことも否めない。
本稿ではそのようなピットフォールを踏まえて,糖尿病患者の眼科診察において鑑別すべき疾患の一症例を提示するとともに,DR・DME治療において考慮すべき全身因子とその管理の重要性について解説する。

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