今月の表紙
脈絡膜低灌流
吉村 美希
1
,
橋本 勇希
1
,
吉冨 健志
1
,
堀 裕一
2
1国際医療福祉大学大学院
2東邦大学
pp.946
発行日 2025年8月15日
Published Date 2025/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.037055790790080946
- 販売していません
- 文献概要
21歳,男性。大学の実技科目の際にlaser speckle flowgraphy(LSFG)にて測定したところ,視神経乳頭周囲の血流速度が著しく低下していた。自覚症状および現病歴,既往歴,家族歴はなかった。左視力は(1.2×−3.25D)で,眼軸長は25.87mm,眼圧は9.7mmHgであった。眼底や乳頭周囲のRNFL厚およびOCTAのRPC密度,VEPで異常はなく,視野検査にてMariotte盲点拡大などの視野異常もなかった。また全視野ERGも正常であった。以上から活動性のある視神経疾患や網膜疾患は否定された。
LSFGは脈絡膜の赤血球に近赤外光を照射して発生した散乱光によって形成されたスペックルを解析し,変化率のマップを求めて血流の2次元のカラーマップを作成する。寒色系は血流速度が遅いこと,暖色系は速いことを表し,血流動態が視覚的に理解できる。LSFGで低灌流がみられる疾患として外傷が契機となる三角症候群や急性帯状潜在性網膜外層症(AZOOR),AZOOR類縁疾患のacute annular outer retinopathy,Vogt-小柳-原田病などが挙げられるが本被検者は上記から該当しないため,今後経過観察していく予定である。
Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.