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高齢者における浴槽内溺死の都道府県別動向—厚生労働省オーダーメード集計データを用いた分析
青木 雄次
1
,
山本 真生
2
,
青木 崇
3
1松本大学大学院健康科学研究科
2松本大学人間健康学部健康栄養学科
3長野県議会
pp.828-833
発行日 2025年9月15日
Published Date 2025/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.036851870890090828
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抄録
高齢者の主な不慮の事故死について、厚生労働省よりオーダーメード統計成果物の提供を受けて性、年齢および季節別に検討し、70歳代と80歳代女性の浴槽内溺死が他の事故死に比べ特に冬季で特徴的に高率となっていることを以前報告した。本報告では、2018年から2022年の浴槽内溺死について、都道府県別に調査した。浴槽内溺死の頻度は、各都道府県で大きく異なっており(性別年代別で年間10万人当たり最大186人、最少0人)、全国平均と比べ特に高い県として、神奈川県、富山県、福岡県、長野県、岐阜県が挙げられた。富山県の男性70歳代と90歳代では、有意(p<0.05)に増加傾向を示した。低い外気温と浴槽内溺死の関係が示唆されているが、都道府県別の頻度をみると他の要因の検討も必要ではないかと考えられた。消費者庁から高齢者の入浴事故に対する注意喚起が行われているが、さらなる啓発が求められる。都道府県別、性別、年齢別に示した本調査が、浴槽内溺死予防対策の改善に寄与することを期待する。

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