映画の時間
—凍った心が溶けてゆく—あの歌を憶えている
桜山 豊夫
pp.190
発行日 2025年2月15日
Published Date 2025/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.036851870890020190
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断酒会の会場でしょうか。参加者が自身の経験や禁酒への決意を吐露していくシーンから映画は始まります。主人公のシルヴィア(ジェシカ・チャステイン)も、娘のアナ(ブルック・ティンバー)を連れて参加しています。重い雰囲気が漂う場面から、一転して、翌朝シルヴィアが出勤するシーンが描かれます。彼女はシングルマザーで、妹のオリヴィア(メリット・ウェヴァー)に助けられながら、娘を育てています。職場は障害者支援施設のようで、アルコール依存症を克服しながら、生活を立て直そうとしている主人公の状況が短い時間で理解できる展開です。
シルヴィアは妹に誘われて、高校の同窓会に出席します。高校時代にあまりいい思い出もないのか、会場の雰囲気に溶け込めません。1人の男性からほほ笑みかけられますが、無視して会場を後にします。あろうことか、その男性はシルヴィアの後をつけてきます。ちょっと怖い展開です。男はアパートの前までついてきて、そのまま朝まで家の前でうずくまっていました。やむを得ず男性に声を掛けますが反応が悪く彼が持っていた連絡先に電話をすると、彼の弟アイザック(ジョシュ・チャールズ)が迎えにきました。男性はソール(ピーター・サースガード)と言い、若年性認知症で、弟とめいが彼の面倒をみています。
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