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遠隔医療における臨床検査技師の役割とその将来像
杉原 明美
1
,
鬼澤 信之
1
1杏クリニック
pp.1008-1009
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.030126110530091008
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はじめに
遠隔医療とは,情報通信機器を活用した健康増進や医療に関する行為と定義され,一般的に「医療従事者間で行われる遠隔医療」と「医療従事者と患者の間で行われる遠隔医療」に分類される.
遠隔医療の歴史は長く,1970年代より研究が開始され,1980年代後半にはテレビ電話を用いた診療の試験運用が実施された.また,「医療従事者間の遠隔医療」では,離島や僻地における遠隔病理診断や遠隔画像診断が行われていた.1990年代に入ると,遠隔医療の制度的な議論が本格化し,厚生省(当時)が「遠隔医療のガイドライン」を発表,オンライン診療の初期的なルールが制定された.
2015年には厚生労働省が「オンライン診療の適切な実施に関する指針(ガイドライン)」を発表し,2018年の診療報酬改定により,オンライン診療が保険適用となった.現在,「医療従事者と患者の間で行われる遠隔医療」はオンライン診療を中心に発展し,離島や僻地のみならず,在宅医療や都市部の外来医療においても普及が進んでいる.
オンライン診療における課題の1つとして,患者が診療に用いる機器を十分に操作できず,症状を的確に医師へ伝えられない点が挙げられる.この課題への解決策として,「D to P with N(doctor to patient with nurse:患者が看護師等とともにオンライン診療を受ける形式)」が注目されている.
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