オピニオン
求められる臨床検査技師の将来像
宮島 喜文
1
1一般社団法人日本臨床衛生検査技師会
pp.600-601
発行日 2023年5月1日
Published Date 2023/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208997
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はじめに
突然のコロナ禍は医療現場を逼迫させ,医療崩壊を招いた.わが国ではあらためて医療提供体制の不備が指摘され,一時的ではあるが2019年より進めてきた集約化を前提とした病院の再編統合の論議が一時の勢いを失いかけている.一方で,わが国の出生数減少はコロナ禍でさらに加速し,人口減少に向かう日本社会では,当然のことながら医療需要も減ることが予測され,医療提供体制の見直しは避けられないものと考えられる.
そのようななか,今後臨床検査はどうなるのか.医療需要の減少は臨床検査分野にも連動し,大きな影響を受けるものと想定される.さらに,医療DX(digital transformation)の推進によっては,重複検査などの削減による検査数の減少や,技術革新による人工知能(artificial intelligence:AI),ロボットなどを搭載した検査機器の普及などにより,人手を要さない臨床検査が実現できる可能性も想定されており,臨床検査の形・スタイルを大きく変貌させる要素を含んでいる.
また,厚生労働省研究班の中では,臨床検査技師は将来的に供給過剰となることが指摘されており,養成校卒業者の就職難という事態も予想されている.臨床検査技師にとって,必ずしも明るい未来といえない.
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