FOCUS
免疫チェックポイント阻害薬のマネジメントに必要となる臨床検査
森田 充紀
1
1兵庫県立がんセンター腫瘍内科
pp.534-537
発行日 2025年5月1日
Published Date 2025/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.030126110530050534
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免疫チェックポイント阻害薬の歴史
免疫反応を利用してがん治療を行う試みの始まりは,1891年にウイリアム・コーリーが進行がん患者に菌毒素を投与した時代まで遡る.以後,長きにわたりさまざまながん免疫の研究が行われたが,免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor:ICI)の登場まで,科学的に十分な有効性を証明できた治療法はなかなか現れなかった.
それまでは主に免疫賦活を狙った治療開発をされてきたのに対し,ICIは免疫抑制解除を狙った薬剤である.つまり,私たちには本来,恒常的な免疫監視機能によりがん細胞を排除する仕組みが備わっている.一方で,がん細胞はPD-1/PD-L1(programmed cell death 1/programmed cell death 1- ligand 1)経路などの免疫チェックポイントを介して免疫細胞を疲弊させ,免疫監視から逃避して進行がんへと進展しようとする.ICIは免疫疲弊を解除し,免疫細胞に再びがん細胞を攻撃させる薬剤なのである.

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