臨床検査のピットフォール
VNC(viable but non-culturable)を踏まえた細菌検査の注意点
河内 誠
1
1JA愛知厚生連江南厚生病院診療協同部臨床検査室
pp.68-70
発行日 2025年1月1日
Published Date 2025/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.030126110530010068
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はじめに
細菌学の父とされるロベルト・コッホが,寒天培地を用いることで細菌を個別に培養することに成功し炭疽菌を発見した1876年から150年近くが経過した.“コッホの4原則”(1882年)として,以下が知られている.
①特定の臨床症状を示す患者から常に検出されること
②特定の患者から常に純培養の状態で分離できること
③この菌の純培養を感受性のある動物に接種すると,特定の症状を示す疾患が起こること
④その動物から再び純培養の形でその菌を分離できること
この原則は,細菌が生きていれば培養可能であるという前提で成り立っている.しかし近年,細菌が生きているにもかかわらず培養できない(viable but non-culturable:VNC)状態の細菌が多数報告されるようになった.
本稿ではVNCの定義をあらためて確認するとともに,VNCの存在を踏まえた細菌検査について考えていく.
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