トピックス
認知症進行機序としてのプリオン様伝播とその診断法への応用
樽谷 愛理
1
,
長谷川 成人
1
1公益財団法人東京都医学総合研究所 脳・神経科学研究分野 認知症プロジェクト
pp.41-43
発行日 2025年1月1日
Published Date 2025/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.030126110530010041
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認知症脳に蓄積する異常型タンパク質
アルツハイマー病(Alzheimer disease:AD)やレビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies:DLB)に代表される変性性認知症は,認知症の約7割を占める.その神経病理学的特徴は,“異常型”となったタンパク質の細胞内外での蓄積,封入体形成であり,進行性に脳内進展する.病変の広がりは臨床症状と強く相関することから,異常型タンパク質の蓄積は後の神経変性を引き起こす要因と考えられている.
ADは,細胞外における老人斑と神経細胞内における神経原線維変化を特徴とし,これらはそれぞれアミロイドβ(Aβ)とタウが主要構成タンパク質である.DLBなどのレビー小体病では,αシヌクレイン(αS)を主成分とするレビー小体が神経細胞内で観察される.筋萎縮性側索硬化症や前頭側頭葉変性症(frontotemporal lobar degeneration:FTLD)では,TDP-43が封入体を形成する.これらの病理構成タンパク質は,5〜20nm幅のβシートに富んだアミロイド様線維に構造変化しており,疾患ごとに特徴的な超微細形態をとる1).
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