連載 臨床現場で本当に必要な薬のおはなし 教員も学生も知っておきたい「看護薬理」・14
ワクチンと感染症
大井 一弥
1
1鈴鹿医療科学大学薬学部 臨床薬理学研究室
pp.248-253
発行日 2025年4月25日
Published Date 2025/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.004718950660020248
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はじめに
免疫は「疫」(流行病)を「免れる」という意味を持っていて、病原体など異物の侵入があると、生体が自己か非自己かの認識を瞬時に行います。免疫は感染症の制圧と密接に関わっており、その糸口となったのはジェンナー(1749-1823)によるワクチンの発見で約200年前に遡ります。
ジェンナーは、疱瘡(牛痘)に感染した搾乳婦が疱瘡を再度発症しないことを発見し、牛痘接種による予防のための接種という方法(種痘法)を確立しました[図1]。こうして現代では、弱毒化したさまざまな病原体を接種することによって、感染症の予防が行われています。
日本では、北里柴三郎[図2]がベーリングと共に破傷風菌やジフテリア菌接種後の動物に抗毒素抗体が出現することを証明し、その後のトキソイドワクチンの開発につながっています。
一方で、ワクチンは副反応がある程度発現するため、近年では製品の安全性や均一性が十分に担保された、安全なワクチン接種が行われています。さらには、ワクチン接種は当代のヒトの健康のみならず、感染症の蔓延を防ぐことが次世代の健康を守ることにもつながっています。天然痘などのようにワクチン接種によって根絶した感染症もあり、現在、世界保健機関(WHO)はポリオ、麻疹、風疹の撲滅を目指しています。

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