特集 プライマリ・ケアにおける患者安全・質改善の地平線
第1章 診断エクセレンス—「誤診」のスティグマを超えて
臨床推論の認知心理学—「System 1」の暴走をどう防ぐか
林 有紗
1
,
志水 太郎
1
1獨協医科大学総合診療医学
キーワード:
dual process theory
,
ヒューリスティクス
,
認知バイアス
,
早期閉鎖
,
デバイアス
Keyword:
dual process theory
,
ヒューリスティクス
,
認知バイアス
,
早期閉鎖
,
デバイアス
pp.1491-1496
発行日 2026年9月10日
Published Date 2026/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002576990630101491
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Point
◎dual process theoryにおける直観的思考(System 1)は,多忙な外来診療において大多数の臨床判断を担うが,ヒューリスティクスを介して認知バイアスと結びつきやすく,診断エラーの主要な原因となりうる.
◎外来で特に問題となる認知バイアスとして,早期閉鎖・アベイラビリティバイアス・感情バイアスがあり,実際の診断エラーでは複数のバイアスが連鎖して修正困難な状態に至ることが多い.
◎認知バイアスは完全には排除できないが,「What else might this be?」という問い,診断タイムアウト,TWEDチェックリスト,HALT法などのデバイアスツールを日常診療の習慣として組み込むことが現実的な対策となる.
◎診断エラーの結果が医師へフィードバックされない「フィードバック・サンクション」は誤った思考パターンを温存する.定期的なカルテの振り返りによる自己監査が,長期的な診断精度の改善につながる.

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