発行日 1954年11月15日
Published Date 1954/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909682
- 有料閲覧
- 文献概要
「あゝ寂しい,寂しい」
とOさんが呟くので,私は笑いながら「まあどうしたの,オセンチぶつて」と冷やかしました。
「だけど私このごろ堪らないほど寂しくなることがあるのよ,新聞見ても汚職だの指揮権だのいやなことばかりだし,一体誰を信用したらいいのか,誰を尊敬すればいいのか。毎日々々目がまわる像ど忙しくて,番があけたら,口もききたくないほど疲れているし,月給は安くて月末はいつも足りない足りないだし,ちつとも楽しいことなんかないのよ,一体何を楽しみに生きてるのかしらつて,考えはじめると,私,壁に頭をぶつつけたいほど寂しくなつてくるのよ。」
Copyright © 1954, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.