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皮膚科に入局して16年が経過した.時間の経過はあっという間で,時々自分は成長できているのか,不安になることがある.その気持ちはどの境遇の人も同様に感じるのではないかと思い,自分より若い医師への具体的なロールモデルとして,そして改めて自分を見つめなおすために,自分が考える大学で働くことの意義を整理したいと思う.大学で働くことの意義の第一は,同僚たちと切磋琢磨できる時間であると思う.それは自分の専門の垣根を越えて,内科や外科の医師との交流の中でも生まれる.学生や研修医のひたむきさに触れ,はっとすることもある.専門医試験や学位取得などの目的こそあればやらなくては,という気持ちが生まれるが,目的がないと日々の忙しさを理由に進歩が止まってしまうこともあるかもしれない.元来私は勤勉ではないからこそ,すばらしい同僚から多くの刺激をもらい,自分の成長への原動力を得られるのだ.第二に日進月歩する医療に触れていられる境遇であろう.特に皮膚科領域はこの16年で多くの新薬が登場し,病態理解が進んでいる.そして,わかってきたことを礎に未来の医療を考える諸先輩方の姿から医学のとらえ方を改めて学ばせていただけるのだと思う.
期待する改善点としては,クリニックの先生やOB/OGの先生との交流がより密なものになればと考える.偏りなく,経験豊富な先生の意見を聞くことは,色々なタイプの患者さんと向き合う糧になるし,また人生道半ば,自分で歩んできた道,歩もうとしている道に納得して進んでいくには,医療に対しての多様な視点からの考えを知ることが必要だと考える.その過程で,自分がやりたいこと,求められていることが明確化し,納得して進んでいけたら理想的なのではないか・・・.
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