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J. of Clinical Rehabilitation 29巻4号

内部疾患の運動療法のエビデンスと実践

J. of Clinical Rehabilitation 29巻4号
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医歯薬出版

電子版ISBN

電子版発売日 2020年12月21日

ページ数 100

判型 B5

印刷版ISSN 0918-5259

印刷版発行年月 2020年4月

書籍・雑誌概要

内部疾患の運動療法のエビデンスと実践
 運動療法は理学療法,作業療法を含めたリハビリテーション(以下リハ)の一部という認識であったが,リハとは切り離されて1 つの独立したものとして扱われていると感じたことがある.かなり前のことであるが,コメディカルのリハの教科書編集に携わった際に,医学全集を多く手掛けていらっしゃる監修者から,本のタイトルを「リハビリテーション・運動療法」にして心疾患等に対する運動療法を強調してほしいと言われた.運動療法はリハに含まれ,また運動療法には筋力増強や関節可動域訓練もあることから,タイトルとして違和感があると反論した.ところが,医療全体からみると運動療法は食事療法と並び予防医学の見地からも語られるべきものであると言われ,リハとは別扱いしたほうがわかりやすいとのことであった.リハというと障害の三次予防に位置付けられるが,一般の医療従事者からみると健常者の一次予防,発症後の疾病の二次予防への運動療法の役割のほうが重要というわけである.
 本特集で扱う運動療法の対象は循環器,代謝疾患等のいわゆる内部疾患である.特に心疾患,末梢動脈疾患の運動療法には多くのエビデンスが蓄積されている.臨床的な効果の実証のみならず,分子レベルでのメカニズムが解明されつつある病態も少なくない.有酸素運動というシンプルなモデルが研究しやすいのかもしれないが,運動器,脳血管障害のリハのエビデンスを一歩リードしていることは確かである.しかし,決して有酸素運動だけではなく,最近では筋力増強,さらには多職種が関与する包括的リハも唱えられていて,リハにおける内部疾患,運動療法の重要性は増している.
 リハ従事者の運動療法への関心はかつて大きいとはいえなかった.運動学習を一大命題として掲げるリハ医にとっても,スキルを志向する療法士にとっても,シンプルな運動療法をリハの使命と考えていなかったのかもしれない.しかし,急性期病院でのリハが医療の中で重視され,リハ従事者に心疾患を主とするリスク管理の知識とスキルが求められるようになり状況は変わった.内科医が専門的にリハ医療に携わるようになったことも転機だったと思う.また,認定あるいは専門理学療法の1 つの領域,つまり心リハを中心とした内部障害理学療法としてまとめられたことも方向性を示した.加えて,自転車エルゴメータ等を用いて行う運動負荷試験に療法士が直接関与するようになり,身近な存在になっていることも重要な要素である.
 内部疾患の定義は曖昧で,本来は呼吸器や腎疾患も含むと思うが,本特集では運動療法のエビデンスの視点で循環器疾患と糖尿病に焦点をあてて,各々の領域の専門家に実践的見地に立って執筆いただいた次第である.(編集委員会)

目次

オーバービュー-運動療法のエビデンスと実践  安隆則
虚血性心疾患の運動療法  牧田茂
心不全の運動療法  合田あゆみ
高血圧の運動療法  長山雅俊
末梢動脈疾患の運動療法  島添裕史
糖尿病における筋トレと運動療法  佐藤祐造
■新連載
オーストラリアのリハの現場より 
第1回 オーストラリアの医療システムについて  渡辺百合子 
■連載
巻頭カラー  リハの現場で役立つ! 目で見る動作・歩行分析 
4.脳卒中②-装具歩行  昆恵介 
ニューカマー リハ科専門医 
  後藤加奈子 
運動器・末梢神経の診察テスト法 
7. 股関節  大谷卓也 
筋電図を症例から学ぶ 
4. 前骨間神経麻痺  水野勝広 
リハビリテーション医療における臨床倫理 
9. 臨床倫理への取り組みと今後の課題  箕岡真子 
急性期リハビリテーションの実際─なにを、いつ、どのように 
14.開腹手術における周術期リハビリテーション医療  千田益生 
こういう工夫でこんなに変わった! アドヒアランスやコンコーダンスを高めるリハビリテーション 
3.失語症  若松千裕,石合純夫 
心に残ったできごと―リハビリテーション科の現場から 
なぜリハビリテーションの道を志したのか  石田健司 
臨床経験 
高次脳機能障害が残存し復学に苦慮した高校生2症例のリハビリテーション治療  池田久美,渡邉修・他
輪状咽頭筋切断術と術後3カ月間の嚥下リハビリテーションによって常食摂取が可能となった延髄外側梗塞の1例  森麗,鮫島靖浩,・他

TOPICS 
神経筋疾患の治療が先か,摂食嚥下リハビリテーションが先か  山本敏之