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アフターコロナの検疫
筆頭著者 田中 一成 (著)
元成田空港検疫所 所長/静岡市保健福祉長寿局 理事・保健所長
南山堂
電子版ISBN 978-4-525-98445-8
電子版発売日 2022年7月18日
ページ数 142
判型 A5
印刷版ISBN 978-4-525-18491-9
印刷版発行年月 2022年7月
書籍・雑誌概要
「そのとき,検疫では何が起きていたのか?」2019年に始まった地球規模の新型コロナウイルス感染症のアウトブレイクで,検疫所でのコロナウイルスとの戦いは想定外に次ぐ想定外の問題が発生し,現場は混乱を極めていた.検疫は,感染症から日本を守る水際対策の砦である.しかし,東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に伴う選手や関係者の入国という難問も加わり,首都東京を守る成田空港検疫所にとっては前代未聞の問題が山積みとなっていた.本書は,そのようなコロナ禍での東京五輪の開催に際し,成田空港検疫所で日本の感染症水際対策の中枢を担った検疫所長による,検疫業務の実際と具体的な問題解決の過程を詳細に記した書籍である.新型コロナウイルス感染症の感染拡大により,検疫に関しての興味・関心は高まっているが,検疫業務の目的やその実践についての認知度はいまだ高いとは言えない.再び同様の惨禍が発生した場合に備え,コロナ禍への対応の経験から導き出された実践知を提言としてまとめた貴重な一冊である.
目次
1.成田国際空港と検疫所
検疫の歴史
わが国の検疫
検疫所とは
成田空港検疫所の沿革
成田空港の概要
旅客ターミナルビルの構造
各旅客ターミナルビルの特徴
2.新型コロナウイルス感染症への対応の推移
新型コロナウイルス感染症への対応以前の状況
前 夜
検疫対応の開始─PHEICの発動─
強化検疫開始直後の対応
混乱を極める検疫の現場
武漢市からの邦人救出便とダイヤモンド・プリンセス号への応援派遣
痛恨のコンタミネーション発生
検疫所が風評被害に
ついに感染者を発見
何もない……
自衛隊の活躍
反転攻勢へ
民間からの応援も始動
中部空港オペレーション
大量入国者の受け入れに向かって
東京五輪への道
変異株への対応
感染拡大の中で
オリンピックシフトへ
パラリンピックへの対応
新たな対応へ─航空機が飛び交う空へ─
3.検疫所における新型コロナウイルスの検査
新型コロナウイルスの検査方法
遺伝子検査
成田空港検疫所のNAT検査
PCRの弱点
成田空港検疫所における検査の隘路
抗原定量検査
検査体制の強化
検査件数のさらなる増加への対応
定量と定性
検査結果
4.強化検疫の変遷について
感染の成立過程
検疫感染症
平時の検疫─サーモ検疫
質問票と健康カード
症例定義に基づく行政検査
対象者の全員検査を実施
対象者の全員待機
オリパラ関係者の検疫
5.検疫所風景点描
「ベッドは送る」……
もっと情報を
検疫所長という立場
外れたアテ
ホテルを使った待機施設について
ロボットの活躍
検疫のコスト
所員のメンタルヘルス対策
6.アフターコロナに向かっての提言
検疫所組織の充実
労働安全衛生法に感染症対策を
検疫法の罰則の手続きを定める
災害救助法レベルの対応を可能に
精度管理の国際的統一
デジタル化の導入
パスポートのICチップの活用
壮大な社会実験を無駄にしない
資 料
おわりに