書籍を検索します。雑誌文献を検索する際には「雑誌文献検索」を選択してください。
駐在保健婦の時代 1942-1997
筆頭著者 木村 哲也 (著)
医学書院
電子版ISBN 978-4-260-61678-2
電子版発売日 2016年6月27日
ページ数 338
判型 A5
印刷版ISBN 978-4-260-01678-0
印刷版発行年月 2012年9月
書籍・雑誌概要
「地域に根ざした保健実践」の象徴として知られる駐在保健婦制度。本書は、高知県駐在保健婦を祖母にもつ若き歴史・民俗学者が成し遂げた圧倒的なオーラル・ヒストリーである。保健婦というユニークな存在に注目することによって「権力 vs. 民衆」という旧来の歴史図式に風穴を開けるとともに、専門誌や手記などの見過ごされがちな文書資料と、共感あふれる聞き書きによって、「地域をまるごと支えた人たち」の姿を今に蘇らせる。
目次
はじめに 保健婦の経験を聞き書きする
第1章 総力戦と県保健婦の市町村駐在
第1節 近代日本における公衆衛生政策の概観
第2節 総力戦と県保健婦の市町村駐在
第3節 戦時高知県における保健婦駐在活動の実態
第2章 戦後改革と保健婦駐在制の継承
第1節 GHQ/PHWによる公衆衛生制度改革の特徴と問題点
第2節 高知県における保健婦駐在制の継承
1 四国軍政部看護指導官・ワーターワースの指導
2 高知県衛生部長・聖成稔の構想
3 高知県衛生部看護係・上村聖恵の役割
第3章 保健婦駐在活動の概況 高知県駐在保健婦経験者の聞き書きから(その1)
第1節 聞き書きをした保健婦の略歴
第2節 中村保健所の沿革、管内状況
第3節 駐在所
第4節 交通手段
第5節 指導体制
第6節 業務計画
第7節 家族管理カード
第4章 保健婦駐在活動の展開 高知県駐在保健婦経験者の聞き書きから(その2)
第1節 結核
1 家庭訪問指導
2 集団検診と予防接種
3 隔離療養室の無料貸与制度
第2節 母子衛生
1 助産の介助
2 障害児への取り組み
3 授乳や子育ての指導
4 出産状況をめぐる変化
第3節 受胎調節指導
第4節 性病
第5節 急性伝染病
第6節 寄生虫
第7節 ハンセン病
1 暮らしのなかのハンセン病
2 隔離の現場で
3 社会復帰・里帰りを見守る
第8節 精神衛生
1 私宅監置の禁止
2 精神衛生法改正以後
3 施設入所から地域でのケアへ
第9節 成人病
1 栄養改善指導
2 リハビリ教室
3 健康体操
第10節 小括
第5章 沖縄における公看駐在制 保健婦駐在制の関係史(その1)
第1節 沖縄戦と保健婦
1 保健婦駐在の実態
2 指導者たち
第2節 米軍占領と公看駐在制-保健婦から公看へ
第3節 公看駐在活動の展開
第4節 日本復帰と駐在制存続問題
1 高知県との交流
2 日本復帰と駐在制存続問題
第6章 青森県における保健婦派遣制 保健婦駐在制の関係史(その2)
第1節 農村恐慌以降の保健活動
1 戦時における衛生環境
2 さまざまな保健活動
第2節 戦後改革と「公衆衛生の黄昏」
第3節 保健婦派遣制の実施
1 夏季保健活動
2 派遣制の実施
第4節 活動の成果とその評価
1 活動の成果
2 評価
第7章 「高知方式」の定着と全国への波及 保健婦駐在制の関係史(その3)
第1節 「高知方式」の定着
第2節 国民皆保険と無医地区問題
第3節 高度経済成長と無医地区対策
第4節 「保健婦美談」と駐在制批判
第8章 保健婦駐在制廃止をめぐる動向
第1節 地域保健法制定の経緯
第2節 各県の対応
第3節 保健婦経験者による駐在制廃止への思い
注
あとがき