MD Frontier 1巻2号 (2021年3月)

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2020年5月にデュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy:DMD)治療薬であるビルトラルセンが上市されてから約半年が経過した.これまで根本的治療のなかったDMDにおいて原因遺伝子に作用し,症状改善が期待できる治療薬が登場したことにより,改めて早期発見・診断のあり方が問われる状況となっている.本座談会ではビルトラルセン登場後のDMD診療の変化などを振り返りながら,新規治療への期待や診断の現状,課題についてエキスパートの先生方にお話しいただいた.

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近年,CRISPR/Cas9を用いたゲノム編集技術の疾患治療への応用が急速な勢いで進展している.この潮流は筋ジストロフィーの治療法開発においても例外ではない.デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy:DMD)においてはエクソンの切除やエクソンスキッピングの誘導によりアウトオブフレーム変異をインフレーム変異に変換する手法が検討されている.また,筋強直性ジストロフィーではCTGリピートを切除する試みがなされている.そしてこれらの研究成果の蓄積により,将来的には臨床応用への道が開かれるものと期待される.「KEY WORDS」筋ジストロフィー,ゲノム編集,CRISPR/Cas9,デュシェンヌ型筋ジストロフィー,筋強直性ジストロフィー

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筋ジストロフィーをはじめとした神経筋難病患者の災害対策について述べた.災害対策では避難のための計画を作成しておく必要があり,市町村が行っている災害時避難行動要支援者名簿への掲載と個別計画を作成することが重要である.避難計画作成は訪問看護など支援者と一緒に作成するとともに,居住地で発生やすい災害を知ること,避難時期・避難方法・避難先の設定,支援者との連絡方法の確認,非常用電源の確保などが必要である.また,2020年10月,台風10号などに備えて沖縄・九州地区で行われた避難入院に関するアンケート結果についても述べた.「KEY WORDS」災害対策,神経筋難病患者,人工呼吸器,災害時避難行動要支援者名簿・個別計画,避難入院

Clinical Report 筋ジストロフィー症例報告

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症例症例:20歳代の男性.経過:本患者の経過を表に示した.周産期・新生児期在胎37週4日,体重2,700gで出生.周産期・新生児期に特記すべきことなし.幼児期1歳2ヵ月で独歩可能.3歳児健診までに発育・発達面での異常の指摘なし.5歳頃から下腿部痛を認めるようになったため,近医・整形外科を受診した.医師から「筋肉の未発達のためではないか?少し様子をみるように」といわれたため,体操教室に入り,筋力強化に努めた.1年ほど継続するも歩行時間の遅延やボール投げの距離の低下など,徐々に周囲の友達との差が目立つようになり,6歳時に精査のため当院受診した.下肢の仮性肥大を認め,血液検査にて血清クレアチンキナーゼ(CK)12,772 IU/Lと筋酵素の上昇を認めた.デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy:DMD)を疑い,ジストロフィン遺伝子の遺伝学的検査(PCR法)を行うも異常は認められなかった.さらなる精査として筋生検を提案したが,希望されなかった.その後は,当院にて関節可動域訓練を中心とした理学療法を実施しながら経過観察を行った.

Expert Lecture エキスパートに訊く筋ジストロフィー診療のポイント

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デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy:DMD)という疾患にみられる症状は多岐にわたる1).診断時にすべてを説明したとしても,親が一度で理解できるわけではない.実際には,基本的な病気のメカニズム,遺伝,子育て全般について説明し,その他の症状については,また時を改めて説明するというかたちが多いのではないだろうか.この本稿でも,まず病気のメカニズム,遺伝,子育て全般についてまとめて説明し,その他の症状については問題となりやすい年齢順に記す.

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ジストロフィンはヒト最大の遺伝子であり,その大きさゆえに複製におけるミスを生じやすいのではないかと考えられています.ジストロフィン異常症には,重症型のデュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy)と比較的軽症型のベッカー型筋ジストロフィー(Becker muscular dystrophy)があります.遺伝様式はX染色体連鎖性遺伝で,2/3が母由来,1/3が突然変異により生じます.保因者診断のためには,患者の遺伝子変異が同定されていることが前提になります.また,遺伝にかかわることも重要ですが,保因者女性のなかには循環器や骨格筋,神経系に支障をきたすことがあり,心理的社会的状況も考慮しながら心身の経過を診ていく必要があります.以下,ジストロフィン保因者女性の診断と対応について,遺伝カウンセリングと健康管理を中心にその流れを記させていただきます(図).

Complication Commentary 筋ジストロフィー診療における合併症マネジメント

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睡眠時の高炭酸ガス血症や低酸素血症は非侵襲的換気療法により改善する.咳の強さに基づき,咳介助を適応する.急性呼吸不全や心不全,呼吸筋力低下や疲労による覚醒時の血液ガス異常に対して,非侵襲的換気療法を追加する.嚥下機能障害が進行しても,咳介助や非侵襲的換気療法を活用して誤嚥や窒息を回避し,経口摂取を継続できるようにする.麻酔の際に要する気管挿管を抜管し,気管切開を回避して生命維持が可能である.「KEY WORDS」デュシェンヌ型筋ジストロフィー,呼吸機能,非侵襲的換気療法,機械による咳介助,嚥下障害

MD Cooperation 筋ジストロフィー診療における職種・施設間の連携

国立病院機構大牟田病院 荒畑 創
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デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy:DMD)診療において,急性期・有症状期の診療は大切ではある.またそれ以外の時期,つまり慢性期の管理は時に不要不急といわれる.しかしながら,自覚症状が出てくるまで介入を行わないことは,患者の生命予後に影響する.同時に“患者教育”にも悪影響を及ぼす.この“患者教育”には,若い患者本人のみならず保護者も対象として含まれる.長期にわたる進行性疾患であるDMDは病状評価のみならず,リハビリテーション,食物の形態調整,疾患についての学習・理解などについて定期的に見直すことが極めて重要である.これらを疾患の後期になってから初めて身につけることは多くの方にとって困難であり,徐々に習得していくことが患者および医療者,双方のストレスを減らすこととなる.このような取り組みは,疾患が進んだ際にはなおさら重要性を帯びてくる.緊急時の対応,病状評価,短期レスパイト,訪問診療,訪問看護の計画,福祉サービス導入,疾患の知識について,患者本人と保護者が理解できているからこそ,地域の医療機関やその他の事業体との連携が可能になる.そして近年問題になってきている介護者の健康管理,自宅での高度医療ケア,患者の社会参加といったことが,安全に行うことができるようになるための基礎にもなる.慢性期におけるこのような取り組みのなかで連携について大きく分けると,①職種間連携,②施設間連携がある.これらを常に見直しつつ,維持することがDMD診療において重要なキーといえる.今回は当院の実例とともに示していきたい.

Patient Support QOL向上のための周辺情報

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難病患者,特に筋ジストロフィー患者は,各人が直面する就労困難性の相違が大きく,またその変化も大きい(急に悪化する可能性がある反面で,治療技術の進展,IT化などによる就労支援の進展による就労能力の向上も現実化しつつある).その就労支援は,通常の障害者に対する以上に個別的対応が重要である.本稿では,筋ジストロフィー患者の就労支援を総合的に論じたい.

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2020年にふりかかってきた新型コロナウイルス感染症(以下,コロナ)禍のなか,多くの学会が中止やオンライン開催への変更などを余儀なくされた.2020年12月19日から2日間にわたり名古屋で開催される予定であった第7回筋ジストロフィー医療研究会も最終的に誌上発表となった.そのなかで,同研究会のオンラインシンポジウムが2020年12月18日に開催され,それを視聴したのでご紹介する(表).

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ミオスタチンは,骨格筋の筋量を負に制御するサイトカインである.ミオスタチンの抑制剤がmdxマウスなどの筋ジストロフィーモデル動物に投与され,ミオスタチン阻害が筋ジストロフィーの有力な治療法になり得ることが示された.しかし,臨床試験に移行してからは今のところ十分な治療効果を示せていない.基礎研究から臨床試験に至る経緯を紹介しながら,なぜ治療効果が得られないのか考察を試みる.「KEY WORDS」ミオスタチン,筋ジストロフィー,筋肥大,サテライト細胞,臨床試験

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目次

奥付

基本情報

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MD Frontier
1巻2号 (2021年3月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:2436-0449 メディカルレビュー社

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