画像診断 43巻4号 (2023年3月発行)

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特集　胸部X線診断再入門 ─症例から学ぶ読影法─

序文芦澤　和人 , 楠本　昌彦 43巻4号 , 2023年3月 , pp.S3-S3

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近年の画像診断の進歩には目覚ましいものがあり，多くの領域において，CT，MRI，超音波検査が中心的役割を担っている．胸部領域においても，病変の鑑別診断や広がり診断においてCTが重要であることはいうまでもないが，安価で簡便であり，かつ一枚の画像で胸部の全体像を把握しやすいことから，胸部単純Ｘ線撮影は，スクリーニングや病変の経過観察を中心に第一選択の画像診断法として現在でも多く施行されている．

1 胸部単純X線画像の読影の基本は？芦澤　和人 , 本多　功一 , 筒井　伸 43巻4号 , 2023年3月 , pp.S12-S24

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▶ 正常画像解剖・正常変異を熟知する．

▶ 過去画像が得られる場合は，必ず比較読影を行う．

▶ 胸部単純Ｘ線写真の解剖学的死角を意識する．

▶ 胸部単純Ｘ線写真の全体像を概観する習慣をつける．

2 正常画像解剖の理解を深めるためには？小澤　良之 43巻4号 , 2023年3月 , pp.S25-S32

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▶ 胸部単純X線の正常画像解剖の理解には，CT画像と対比した学習が役立つ．

▶ 種々の肺・縦隔境界線と成り立ちの理解は，肺，縦隔解剖，病変診断に有用である．

▶ 側面像は正面像と比較し，左右肺が重なるが，心・大血管や肺門部の前後面域は観察しやすい．

3 この陰影は正常？それとも異常？ part 1 ─ 立位と臥位の違い，代表的な正常変異（胸膜関係）三角　茂樹 43巻4号 , 2023年3月 , pp.S33-S42

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▶ 胸部単純X線写真の読影は，撮影された状態も考慮する必要がある．

▶ 立位と臥位の大きな違いは，重力の方向，フイルムと X 線管球までの距離および臓器とフイルムまでの距離，肢位が挙げられる．

▶ apical cap や上下葉間胸膜の陰影を理解し，多くの場合は精査不要であるが，その限界も知る．

4 この陰影は正常？それとも異常？ part 2 ─ 一般的な正常変異（骨・軟部組織，血管影）藤澤　英文 , 村上　大軌 , 片岡　香絵 , 渡邉　孝太 43巻4号 , 2023年3月 , pp.S43-S49

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▶ 胸部単純Ｘ線写真の数多くの正常変異所見を知る．

▶ 肺結節や縦隔病変と見誤りやすい正常変異所見を的確に診断する．

5 心臓の異常で重要な所見は？松下　彰一郎 , 竹内　結花 , 保月　愛里 , 宇都宮　大輔 43巻4号 , 2023年3月 , pp.S50-S58

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▶ 胸部単純X線写真の読影の際には，肺野だけでなく心大血管陰影にも目を向ける．

▶ 読影の際は先入観を捨てて，病態生理を考えながら所見を解釈する．

▶ 心陰影の評価に側面撮影は有用であり，側面像の読影にも精通する．

▶ 心胸郭比の拡大がみられた時は，必ずしも左心拡大に起因するとは限らないため，可能であれば側面像とも併せて評価し，病態生理や循環動態を正しく把握することが重要である．

▶ 心嚢液貯留を示唆するepicardial fat pad signは，側面像では理解しやすい．

▶ 心陰影に重なる部分にも肺があることを意識して，見落としがないように読影する．

6 大血管の読影で重要なポイントは？堀之内　宏樹 43巻4号 , 2023年3月 , pp.S59-S65

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▶ 大動脈の辺縁（上行大動脈右縁・弓部大動脈外縁・下行大動脈左縁・A-P window）をたどる．

▶ 縦隔の変化（気管や食道の偏位や圧排）に注意する．

▶ 画像所見と患者情報を照らし合わせる．

▶ 治療デバイスの適切な位置や形態を知る．

7 胸部X線画像読影における基本事項は？竹中　大祐 43巻4号 , 2023年3月 , pp.S66-S73

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▶ 単純X線写真は空気，脂肪，水，石灰化の 4つの濃度の重なりである．

▶ 肺内空気と接する臓器辺縁と直進するX線が接線を構成すると，明瞭な境界線になる．

▶ 明瞭であるべき臓器辺縁が消えることが，シルエットサイン陽性である．

8 この肺門影は正常？それとも異常？近末　智雅 , 角　明子 , 藤本　公則 43巻4号 , 2023年3月 , pp.S74-S88

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▶ 正常の肺門影は血管影が主体であるが，肺門は他の多くの構造物が重なるため，立体的に把握する画像解剖学の知識が必要である．

▶ 肺門影の拡大（大きな肺門）か縮小（小さな肺門）かによって，鑑別診断を考える．

▶ 肺門に重なる腫瘤状陰影では，hilum overlay sign および hilum convergence sign に注意して読影する．

9 この肺血管影は正常？それとも異常？中園　貴彦 43巻4号 , 2023年3月 , pp.S89-S98

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▶ 肺血管影の異常には増強，減弱，不明瞭化，走行異常などがある．

▶ 肺血管影の増強の主な原因は肺血流量増加であり，間質性肺水腫では肺血流の再分布や広義間質肥厚に注目する．

▶ 肺血管影の減弱の主な原因は，肺血流量低下，肺動脈狭窄，肺気腫や気道狭窄などである．

▶ 代表的な肺血管の走行異常は，肺動静脈奇形と部分肺静脈還流異常である．

10 この気管・気管支の陰影は正常？それとも異常？西本　優子 , 野間　惠之 , 久保　武 , 山田　彩 43巻4号 , 2023年3月 , pp.S99-S104

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▶ 正常では，気管から中間気管支幹，左下葉気管支上部まで透亮像を確認できる．

▶ 右気管傍線は，厚さ1～ 2mmの線状構造として認識される．

▶ 所見が乏しいのに喘鳴や咳嗽が強い時は，気管に注意する．ただし，異常の指摘は難しいことも多いので，CT を活用する．

11 肺葉性無気肺の診断はなぜ重要？室田　真希子 , 佐藤　功 43巻4号 , 2023年3月 , pp.S105-S111

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▶ 無気肺の種類および閉塞性無気肺の診断の重要性を知る．

▶ 肺葉性無気肺における胸部単純X線写真の直接所見と間接所見を知る．

▶ 肺門を起点とした肺葉の立体的な広がりを踏まえ，各肺葉の容積減少に伴う肺葉の偏位を理解する．

12 肺胞性陰影と間質性陰影の特徴とは？田中　伸幸 43巻4号 , 2023年3月 , pp.S112-S124

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▶ 肺胞性陰影の基本型は，数mmから1～2cm大の辺縁が不明瞭で，隣り合った病変と融合傾向を示すacinar shadowであり，融合して浸潤影になると，内部にair bronchogramがみられる．

▶ 間質性陰影の中で広義間質の病変では，気管支壁の肥厚，肺血管影の腫大，末梢肺血管の顕在化がみられ，また，小葉間隔壁肥厚所見として，いわゆるKerley lineと呼ばれる数cmの線状影が観察される．構造改変の所見として，下肺野外側を主体に網状影，輪状影として，蜂窩肺がみられる．

▶ すりガラス影は，肺胞性，間質性，いずれの病態でもみられ，他の所見と併せて評価する必要がある．

13 肺結節・腫瘤影の読影のポイントは？石川　浩志 , 山崎　元彦 , 八木　琢也 , 湊　恒二郎 43巻4号 , 2023年3月 , pp.S125-S136

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▶ 正面像では，肺野の限局性の左右差に敏感になる．骨も含めた左右比較が必要である．

▶ 過去画像との比較は，存在診断，質的診断において非常に重要である．

▶ 心・大血管の前後，横隔膜の後方，縦隔の近傍は，血管影の見え方やシルエットサインにも注目する．

▶ 多発結節・腫瘤影は鑑別診断が多く，対応を急ぐべきものも多い．原則としてCT の追加を推奨する．

14 異常影は肺内？それとも肺外？ part 1 ─ 縦隔腫瘤本多　修 43巻4号 , 2023年3月 , pp.S137-S146

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▶ 胸部単純 X 線写真における肺縦隔境界線と呼ばれる複数の正常のラインを知っておく．

▶ 肺縦隔境界線の消失や偏位は病変が存在する可能性がある．

▶ 肺縦隔境界線の異常部位により，病変の位置（縦隔内での前か，後ろか）を推測できる．

15 異常影は肺内？それとも肺外？ part 2 ─ 胸膜・胸壁疾患樋田　知之 , 神谷　武志 , 藪内　英剛 , 石神　康生 43巻4号 , 2023年3月 , pp.S147-S152

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▶ 胸膜外徴候（extrapleural sign），不完全辺縁徴候（incomplete border sign）は，肺外病変を疑う重要な所見である．

▶ 胸水貯留は多彩な形態，陰影を呈し，時に肺内病変に類似する．

▶ 胸部単純 X 線写真での胸膜・胸壁疾患の鑑別は難しいが，その陰影を適切に解釈し，さらなる画像検査や治療へとつなげることが肝要である．

16 この異常な空気像の原因は？大野　敏寛 , 坂井　修二 43巻4号 , 2023年3月 , pp.S153-S163

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▶ 空洞・嚢胞性病変は，病変の壁の性状，分布や数，内容，病変周辺の状態に注目する．

▶ 気胸は，虚脱した臓側胸膜の線状影（hair line）とその外側の無血管領域を同定し，原因となる病変の有無をチェックする．

▶ 横隔膜ヘルニアは，発生部位，ヘルニアの内容物（特に腸管ガス）に注目する．

17 異常影の見落としやすい部位と間違いやすい陰影は？楠本　昌彦 43巻4号 , 2023年3月 , pp.S164-S173

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▶ 胸部単純X線写真で，病変の見落としやすい部位を知る．

▶ 肋骨や鎖骨に重なる部分をチェックする．

▶ 心臓，横隔膜，縦隔に重なる部分をチェックする．

▶ 肺門部の正常構造を理解し，異常を指摘できる．

18 異常所見を組み合わせると鑑別診断が絞れる？轟木　陽 , 奥　永 , 青木　隆敏 43巻4号 , 2023年3月 , pp.S174-S181

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▶ 胸部 X 線診断を行う場合，肺野や縦隔病変に加えて，骨や軟部組織の異常所見に注意を払うことで鑑別診断を絞ることができ，特異的な診断が可能なこともある．

▶ 複数の異常所見の性状や分布を詳細に解析することで，鑑別診断を絞ることや診断の優先順位をつけることが可能な場合がある．

19 臨床診断を鵜呑みにしても大丈夫？林　秀行 , 芦澤　和人 43巻4号 , 2023年3月 , pp.S182-S196

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▶ 臨床所見と画像の乖離に注意する．

▶ 腫瘍性病変は，感染により修飾されうる．

▶ 腫瘍性病変や結核は，様々な画像を呈しうる．

▶ key wordにとらわれすぎない．

▶ 肺の容積や透過性の左右差に気を配る．

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総扉 43巻4号 , 2023年3月 , pp.S1-S1

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編者／執筆者一覧 43巻4号 , 2023年3月 , pp.S2-S2

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目次 43巻4号 , 2023年3月 , pp.S4-S10

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本扉 43巻4号 , 2023年3月 , pp.S11-S11

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索引 43巻4号 , 2023年3月 , pp.S197-S205

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Back Numbers 43巻4号 , 2023年3月 , pp.S206-S207

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奥付 43巻4号 , 2023年3月 , pp.S208-S208

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基本情報

画像診断
43巻4号
(2023年3月発行)

電子版ISSN：2432-1281 印刷版ISSN：0285-0524 Gakken

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