画像診断 40巻8号 (2020年6月)

特集 原点回帰!骨軟部の単純X 線写真を深く読み解こう

序説 小橋 由紋子
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数年前に,関節の単純X線写真の翻訳を手がける機会を得た.この本はイギリスの医学生教育のために作成された教科書で,細部にわたり単純X線写真を理解するための工夫がなされていた.私にとっても復習になったり新たに学んだりと,単純X線写真の価値を再認識することができたと思う.しかしながら,医学生が臨床に携わる機会がないうちに,185ページもある単純X線写真の教科書を勉強するのは大変だろうなとも感じた.

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救急での単純X線撮影は,骨折などに伴う痛みのためにルーチン通りの撮影体位をとることが困難なことが多い.このため,依頼医に確認し臨機応変に撮影方法を変更する必要がある.撮影するにあたり,写真の質はもとより,単純X線写真上に写る骨関節はすべて観察するように心がけている.また,患者の痛がる部位や肢位に着目し,広めの撮影を行うこともある.骨盤骨折など,撮影中にバイタルの変動しやすい患者の撮影では依頼医の帯同は不可欠であり,場合によっては骨盤CTを先行させることも考慮すべきである.

変形性関節症 山本 麻子 , 石川 祐一
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変形性関節症(OA)の診断には主に単純X線写真が用いられ,一般に診断能は高い.一方で数多くの疾患が関節炎を来し,二次的にOAに至るため,一次性のOAか,背景疾患や病態が存在する(二次性OA)のか,判別に苦慮することは少なくない.本稿ではOAの分類,典型的な画像所見および単純X線写真において着目すべきポイント,各関節におけるOAの画像所見および進行度,主な鑑別疾患の画像所見について述べる.

関節リウマチ 神島 保
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関節リウマチ(RA)の早期像は,関節付近の軟部組織濃度上昇と関節近傍の骨粗鬆症で,進行すると関節脱臼や強直に至る.RAの単純X線写真上の異常所見は,主に手と足の小関節に対称性に現れる.また,脊椎では環軸関節に好発する.その他,膝,肩,肘,距腿関節などの大関節も侵されることがある.

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単純X線写真は骨・関節変形や石灰化の描出に優れ,全身の関節に利用できるため,脊椎関節炎や結晶沈着性関節炎において重要な検査である.脊椎関節炎は体軸型と末梢型に分かれ,それぞれ特徴的な分布と骨・関節変化を来す.結晶沈着性関節炎は,特徴的な分布や石灰化,隣接した骨・関節の変化を来す.

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CTやMRIの発達により,骨折・損傷の詳細な評価が可能となったものの,単純X線写真は簡便に行うことができ,骨折の種類によっては特徴的な所見を示す場合がある.本稿では,代表的な関節における骨折の画像所見を概説するとともに,治療方針にかかわる所見についても併せて示す.

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整形外科の術後の画像診断は,単純X線診断が基本である.骨折術後では骨折部,内固定具の評価,腫瘍手術後では移植骨および再建材料の評価,人工関節,脊椎手術後ではインプラントの評価が必要である.さらに,術後感染,隣接関節,椎体の障害など,疾患ごとの経時的に所見が変化する合併症を理解し,早期に診断することが重要である.

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単純X線写真は骨病変が疑われる際に最初に行われる画像診断である.簡便かつ被ばく量の低い検査であるが,依然として鑑別診断につながる最も多くの情報を提供する.骨吸収の性状,石灰化・骨化基質の性状,骨膜反応の性質を含めた単純X線撮影に基づく古典的な解析法の意義は,依然として非常に大きい.

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単純X線写真で遭遇する骨軟部の正常変異や偽病変には様々なものがある.主なものとして,腫瘍類似病変(骨島や骨幹端線維性欠損など),発生過程の変異(頸肋や腰仙椎移行椎など),2次骨化中心の変異(分裂膝蓋骨など),筋腱付着部の形態変異(三角筋粗面や大腿骨遠位皮質骨不整など)がある.

すとらびすむす

Followership? 扇谷 芳光
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5 年ぐらい前に,画像診断クイズを得意とする先輩が部長をしている病院にバイトへ行った時のことである.その病院に勤めている同じく画像診断クイズが好きな後輩から,メディカルトリビューンの切り抜きを渡された.何でも,夫から「放射線科の先生がとても良いことを書いているから」といわれて渡されたそうである.ちなみにその後輩の夫は,自分と同級生の耳鼻科医である.そこで渡されたのは,慶應義塾大学放射線診断科教授 陣崎雅弘先生が書かれた記事であった.「医局運営において,リーダーに求められるのは,強力なリーダーシップではなく,フォローワーシップである」とする内容であった.

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症例は10歳台,男性.息苦しさと左胸痛を自覚,胸部単純X線写真(非提示)で縦隔腫瘍が疑われた.造影CTでは,前縦隔に12cm大の境界明瞭で分葉状形態を示す腫瘤を認め,内部は不均一な造影効果を示し,不整形な石灰化が散見された他,脂肪の吸収値を示す小構造が認められた.MRIでは,T2強調像で大部分は不均一な高信号を示し,大小の嚢胞成分を伴っていた.また,脂肪抑制T1強調像で病変の一部に地図状の高信号域を認め,出血が疑われた.腫瘍マーカーは,hCG-β 131.1mIU/ml(正常値<0.5mIU/ml),AFP 9077.7ng/ml(1.0 ~10.0ng/ml)といずれも異常高値であった.以上の画像所見および臨床情報から,混合型胚細胞腫瘍を強く疑った.なお,精巣には腫大や左右差を認めなかった.

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Q1 CESTイメージングについて,画像診断2020年2月号のZスペクトルとMTRasym曲線をもう少し詳しく教えてください.また,4D-flow MRIは,基本的には定性的な評価法なのでしょうか? 4D-flow MRIに関して,定量的な評価法があれば教えてください.

Q2 超急性期虚血症例で,時間が非常に重要になってくる状態で,ASLは本当に必要でしょうか? 場合によっては頸部MRAも省略することが可能な気がしますが(例えば典型的なMCA閉塞のみなど,血栓回収になれば頸部は血管造影で確認すればいい),最小限のシーケンスですませるという考えと,より適切な治療決定を判断するために多少時間が延びても検査を行うという考えを,どのようにバランスをとっているのでしょうか?

Q3 ①背景乳腺の造影効果が目立つ場合,NMEはどのような場合に有意ととったらいいでしょうか? 背景の造影効果よりも強い場合に有意とするなど,基準があるのでしょうか?②推奨されているダイナミックMRIのプロトコールの面内分解能は,収集でしょうか,再構成でしょうか?③乳腺MRIでは臨床的には病変の広がり診断が求められていると思うので,乳管内進展を疑う所見など広がり診断の仕方について教えてください.

CASE OF THE MONTH

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50歳台,女性.主訴:めまい,右顔面の感覚低下.現病歴:約1か月前に全身に発疹が出現.近医皮膚科を受診し,蕁麻疹として加療された.数日前より咳嗽,喀痰などの風邪症状が出現し経過をみていたところ,4日後に突発的な回転性めまいを自覚したため近医を受診.一時的に症状は改善したが,左眼外転障害,右顔面の感覚低下が出現したため当院神経内科紹介となった.

解答応募用紙は,https://gakken-mesh.jp/html/pc/pdf/case-web.pdf からダウンロードできます.

The Key to Case of May 田崎 裕太郎
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70歳台,女性.主訴:なし.現病歴:健康診断で施行された胸部単純X線写真で異常を指摘され精査となった.既往歴:高血圧症.喫煙歴,飲酒歴,粉塵曝露歴,アレルギー:なし.血液検査など:特記事項なし.

General Radiology診断演習

色眼鏡をはずす 井上 明星
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自動車運転中に自損事故を起こした際に下顎部を強打.運転中はシートベルトを着用し,事故の衝撃でエアバックが作動した.翌日も頭痛が続くため受診した.既往歴に高血圧症あり.10日前に感冒のため近医にて投薬されている.

Picked-up Knowledge from Foreign Journals

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・虚血性心筋症患者において,遅延造影MRI上のjeopardized myo cardiumは生存率を予測する:血行再建術の意義

・心筋梗塞後心室頻拍患者における正確な伝導速度マップとそれに関連したMRI上の瘢痕分布

・2管球dual-energy CTを用いた心筋外体積分率による心筋症の組織と正常組織との鑑別

他科のエキスパートにお尋ねします−ここを教えていただけますか?

頭頸部編 結束 寿 , 馬場 亮
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・頭頸部癌取扱い規約(第6版)で口腔癌に新しく追加された深達度/DOIは,臨床ではどのように判断していますか?

・早期口腔癌N0症例における予防的頸部郭清術要否はどのように判断していますか?

・頭頸部癌取扱い規約(第6版)に新しく追加された頸部リンパ節転移の節外浸潤に関してはどのように判断していますか?

Refresher Course

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免疫チェックポイント療法はこの5 年間で急速に認知され,日常臨床において頻用される治療法となったが,合併症のまとまった報告はなく,放射線診断医の中でも合併症に対する認識が十分とはいえない.本稿では,免疫チェックポイント療法の概要から合併症の頻度,臨床所見,画像所見を概説する.

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40巻8号 (2020年6月)
電子版ISSN:2432-1281 印刷版ISSN:0285-0524 学研メディカル秀潤社

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