言語聴覚研究 10巻3号 (2013年9月)

言語聴覚研究優秀論文賞発表

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 本誌を発行する一般社団法人日本言語聴覚士協会では,「言語聴覚研究」に掲載された原著論文のうち特段に優れた論文に対し「言語聴覚研究優秀論文賞」(毎年,原則として1編)を授与しています.対象となる論文は過去2年間に本誌に掲載された原著論文のうち,筆頭著者が投稿時点で40歳未満の論文です.選考は本誌編集委員会が基準を設けて厳正に行っています.受賞論文は一般社団法人日本言語聴覚士協会総会・日本言語聴覚学会において表彰いたします.

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 就学前の発達障害のある,あるいはそのリスクのある幼児の対人コミュニケーション行動を多面的に観察・評価するためのツールが必要とされている.そこで,本研究では,計3つの下位領域と計31の項目からなる対人コミュニケーション行動観察フォーマット(FOSCOM)を開発し,その信頼性や妥当性を中心に検討した.まず,自閉性障害,自閉性障害以外の自閉症スペクトラム(ASD),非ASD,低リスク群で構成される145名の就学前児の標本に基づいて,診断分類別の検査得点の平均値差を検討したところ,概ねすべての群間で有意な差が認められた.また,因子分析の結果から,各下位領域項目群の一因子性が示唆された.

 そして,信頼性については,まず内的整合性をα係数により評価し,次に5名の幼児の評定データを用いて評定者間・評定者内安定性の検証を行ったところ,いずれも実用上十分に耐えうる程度の高い信頼性が示された.

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 われわれは,動詞想起と文産生に困難さを示したブローカ失語症患者に,動詞想起の改善を目的に2種類の訓練を実施し比較した.1つは名詞で利用される訓練を応用した単語訓練であり,もう1つは項構造治療に文構成を加えた文訓練である.その結果,①動詞想起には単語訓練と文訓練の両方で有意な効果があったが,単語訓練のほうが良好だった.本症例において文訓練が負荷として作用しtrade-off現象が生じたためと考察された.②単語訓練と文訓練の両方で文産生への般化がみられたが,後者の場合に文形態として質的に高い文が産生された.単語訓練の後では1項を含む文の増加が,そして文訓練後には1項だけでなく2項を含む文の増加と助詞の省略の減少が観察された.このため,文産生自体には動詞に関係する語彙を構造化する文訓練が有効であることが示唆された.③プローブテストで非訓練語の成績に変化が認められなかったことから,改善は訓練効果と考えられた.

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 悪性リンパ腫の頸静脈孔浸潤によりVernet症候群と舌下神経麻痺を呈した嚥下障害の1例を報告する.本例は,咽頭収縮不全,喉頭挙上不全,食道入口部開大不全,アンカー機能障害を主徴とした球麻痺タイプの嚥下障害を呈した.嚥下リハビリテーションは,患者の治療状況に合わせて行った.化学放射線治療前は安全条件での摂食訓練および問題点に対する基礎的嚥下訓練,化学放射線治療中は症例の全身状態に配慮して基礎的嚥下訓練,化学放射線治療後は残存した舌下神経麻痺に起因する問題点に対し舌接触補助床を作製し,安全条件内での段階的摂食訓練を行った.嚥下障害の改善には,放射線治療と嚥下リハビリテーションが有効であったと考えられた.

学会記録

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会期:2013年6月28日(金)・29日(土)/会場:さっぽろ芸術文化の館(札幌市)

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 本協会は平成16年11月に言語聴覚障害学領域およびその近接領域に関する学術専門誌「言語聴覚研究」を創刊しました.本誌は各種言語聴覚障害の基礎と臨床に関する学術論文を掲載することになります.

 購読会員を募集していますので,下記のとおりご案内いたします.

投稿規定

執筆要綱

投稿誓約書

編集後記 藤田 郁代
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 今夏は厳しい暑さとゲリラ豪雨が人々を悩ませましたが,8月も末になるとようやく秋が近づく気配がそこはかとなく感じられるようになりました.

 今号には第14回日本言語聴覚学会における一般演題の講演抄録が掲載されています.これは発刊以来はじめてのことであり,本誌が年4回発行になることにより今年度から実現したものです.

基本情報

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言語聴覚研究
10巻3号 (2013年9月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:1349-5828 日本言語聴覚士協会

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