糖尿病診療マスター 13巻7号 (2015年7月発行)

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特集　糖尿病診療におけるICT（Information and Communication Technology）活用術

ⅠITがもたらす次世代医療

ICTの医療への応用—現状と今後の展望藤田　英雄 13巻7号 , 2015年7月 , pp.530-534

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POINT

・モバイル技術の普及とともに，医療ICTの役割が期待されている．

・センシング技術開発とともに，モバイルヘルスが一分野として発展しつつある．

・工学・通信工学に加え，情報工学と臨床医学の寄与が今後発展の鍵となる．

ITの活用による業務の効率化とリスク軽減—バイタルサイン測定機器・SMBG機器と電子カルテの連動山秋　直人 13巻7号 , 2015年7月 , pp.535-541

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POINT

・病態の複雑化と求められる医療のスピード化/効率化．

・ハードウエアによるカバーで直接的/間接的な業務改善．

Ⅱ糖尿病自己管理教育におけるITの活用

モバイルICTによる糖尿病管理システムの構築—スマートフォンを活用した2型糖尿病患者の自己管理支援システム—DialBetics 脇　嘉代 13巻7号 , 2015年7月 , pp.543-547

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POINT

・近年，telemedicineが積極的に取り入れられている．

・DialBeticsはランダム化比較試験により血糖コントロール改善の効果が示された．

ICTを活用した糖尿病自己管理教育坂根　直樹 13巻7号 , 2015年7月 , pp.548-553

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POINT

・ICTを用いることで，糖尿病について効果的に学習できる．

・ICTを用いることで，歩数，体重，血圧，血糖などの達成度を確認することができる．

・患者とデータを共有することで，療養支援を効果的に進めることが期待できる．

データマネージメントシステムやスマートフォンアプリを活用した療養支援小出　景子 13巻7号 , 2015年7月 , pp.555-560

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POINT

・糖尿病治療には，HbA1c以外にも血糖変動指標が必要．

・血糖変動を縮小させるためには，DMSの活用が必須．

糖尿病自己管理教育におけるiPadアプリやクラウドの活用庄島　蘇音 , 中塔　辰明 13巻7号 , 2015年7月 , pp.561-568

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POINT

・ICTを活用することで生活や活動を“見える化”できる．生活を“見える化”することがさまざまな「気づき」につながる．

・ICTを活用することで達成度も“見える化”できる．達成度の“見える化”は「楽しさ」や「やる気」の向上につながる．

・視覚化された教育資材は糖尿病理解の向上に役に立つ．タブレットやスマホ用アプリには健康情報の自己管理や，糖尿病診療のツールとして役に立つものも多い．ICTを活用することでの自己管理意欲の向上と，糖尿病教育および糖尿病診療の質を向上させることができる．

Ⅱ糖尿病自己管理教育におけるITの活用　コラム

デジタル教育資材の開発と活用小坂　愛子 , 石橋　不可止 13巻7号 , 2015年7月 , pp.569-573

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POINT

・糖尿病教室形式の集団教育から脱却する．

・HDV媒体による個別教育は教育効果に優れ，さらに指導者のスキルアップとなる．

Ⅲ糖尿病医療連携におけるITの活用

ICTを活用した糖尿病地域医療連携井町　仁美 , 村尾　孝児 13巻7号 , 2015年7月 , pp.574-580

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POINT

・糖尿病の増加と地域連携の必要性．

・医療ICTによる糖尿病地域連携クリティカルパス．

・医療ICTによる糖尿病疾病管理．

ITを活用した糖尿病疾病管理—糖尿病透析予防を中心に平井　愛山 13巻7号 , 2015年7月 , pp.581-587

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POINT

・疾病管理MAPとΔeGFRによるハイリスク患者の抽出．

・医療と行政の連携協働の取り組み．

Ⅲ糖尿病医療連携におけるITの活用　コラム

ICTを外来診療，医療連携に活用する庄島　蘇音 , 中塔　辰明 13巻7号 , 2015年7月 , pp.588-591

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POINT

・ICTは情報共有やコミュニケーションのツールとしても有用である．

・クラウドを活用した情報共有はチーム医療や医療連携においても役に立つ．

医療におけるSNSの利用—健康啓発活動を中心に川井　治之 13巻7号 , 2015年7月 , pp.592-594

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POINT

・ソーシャル・ネットワーキング・サービス（SNS）を利用した健康啓発活動．

・SNSでのグループの利用．

Perspective◆展望

ICTの進歩を糖尿病診療に有効活用する中塔　辰明 13巻7号 , 2015年7月 , pp.529

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　ICT（Information and Communication Technology）の進歩はめざましく，“クラウド”，“モバイル”，“ビッグデータ”，“ソーシャル”に代表されるような情報技術は，社会インフラからビジネス，個人の日常生活まで，きわめて幅広い領域に影響力を及ぼすようになっています．医療の分野もその例外ではなく，カルテの電子化をはじめ，医療情報の共有やネットワークの構築，医療ビッグデータの活用など，ICTの活用は医療の均てん化や質向上に必要不可欠な状況となってきています．われわれの身近にある携帯情報端末も日々進化しており，タブレット型携帯端末やスマートフォンに続いて，最近ではウエアラブル端末も急速に普及してきています．今後，血糖などの生体情報の取得技術の低侵襲化や非侵襲化が進めば，腕時計型ウエアラブル端末などで，いつでも，どこでも，簡単に生体情報を確認できる時代がくるかもしれません．個人個人が携帯情報端末で自分の健康データを管理することが一般的になってくれば，外来診療の中に日常の健康情報を取り込むことも容易になり，より患者さんの生活に即した療養支援ができるようになることも期待されます．

　このようにICTの進歩と医療の進歩とは密接に関係しており，ICTを有効活用することは医療の質向上のためにもきわめて重要な課題といえます．すでに糖尿病診療の領域でもさまざまな取り組みがなされていますが，タブレット端末を活用した療養支援やSNS（social networking service）やクラウドサービスを活用した情報提供や情報共有はその代表例です．SNSは患者と医療者をつなぐ役割を果たす可能性を秘めており，クラウドサービスを活用した情報共有はチームメンバー間での情報共有を容易にし，チーム医療の向上に大きな役割を果たします．医療ビッグデータの活用はこれからの大きな課題ですが，レセプトなどの診療情報や特定健診のデータを活用する「ナショナルデータベース」，「データヘルス」などの取り組みはすでに始まっています．

糖尿病診療トレーニング問題集

内科医レベル山元　弘桜 , 山元　俊行 13巻7号 , 2015年7月 , pp.595-597

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症例　43歳，男性．

主訴　下痢，嘔吐．

季節を感じる糖尿病食—旬の野菜と身近な卵で

—文月—さやいんげんと春雨の炒め煮とトマト・ハム入りスクランブルエッグ城戸崎　愛 13巻7号 , 2015年7月 , pp.600-601

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さやいんげんと春雨の炒め煮

■材料（2人分）

さやいんげん 200g

春雨 25g

豚肉（三枚肉の薄切り） 75g

＊酒大さじ1/2

　しょうゆ大さじ1/2

　しょうがのしぼり汁小さじ1

サラダ油大さじ2

砂糖小さじ1

しょうゆ大さじ1 1/2

糖尿病運動療法“ヒヤリ・ハット”・4

外見上はいつもと変わりなし．しかし，運動前血圧が通常より高値！　実は，病院駐車場で転倒後であった佐久間　貞典 13巻7号 , 2015年7月 , pp.602-603

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▶症例提示

2型糖尿病　男性　71歳9カ月　身長165.5cm　体重76.1kg　BMI 27.7kg/m²　HbA1c 7.4%

内服薬：ビクアナイド薬 250mg×3錠

専門医に訊くCommon Disease最新の知識

心房細動鈴木　信也 13巻7号 , 2015年7月 , pp.604-605

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Question①

NOAC（新規経口抗凝固薬）とワルファリン，どちらを使えばよいのでしょうか．

Answer①

　ワルファリン療法に熟練した医師以外は，NOACを最大限考慮するとよい．NOACが使用できないのは，CCr 15mL/min未満および弁膜症性心房細動である．ハイリスク症例は専門医と連携して管理するのがよい．

海外文献紹介

血糖値と膵癌発症リスクには用量反応関係がある？砂金　知里 , 中神　朋子 13巻7号 , 2015年7月 , pp.607-608

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　膵癌の死亡率は高く，診断時に患者の約85%が切除不能と判断され，いまだに5年生存率は5%未満にとどまっています．また，罹患率と死亡率は世界的に上昇しつつあり，英国では癌の部位別死亡率の第5位，米国では第4位が膵癌となっています．そのため，修正可能な危険因子を同定し膵癌を予防することが望まれています．先行する疫学研究では，2型糖尿病が膵癌の危険因子であることがすでに示されています．また，インスリンが膵癌細胞の増殖を促進しアポトーシスを抑制すること，高血糖が膵癌細胞の増殖と浸潤能力を高める可能性を示す実験結果の報告もあります．高インスリン血症と高血糖は，前糖尿病状態の段階ですでに認められると報告されていますが，血糖値と膵癌の関係を調べた複数の研究では，一貫した結果は得られていませんでした．今回，血糖値と膵癌のリスクの用量反応関係を評価することを目的とした前向き観察研究の系統的レビューのメタ解析が行われましたので紹介します．

　分析対象は，2013年11月30日までに発表された文献のなかから血糖値と膵癌のリスクの関連を評価した前向き観察研究9試験です．追跡期間中に計2,408人が膵癌に罹患しており，4試験がヨーロッパ，3試験がアジア（1試験はアジアとオセアニア），2試験が北アメリカからの研究です．平均年齢はいずれも40〜50代で，平均観察期間は最短が5.3年，最長が25年です．各試験での補正変数には年齢，喫煙，BMIを含んでいます．

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購読申し込み書 13巻7号 , 2015年7月 , pp.609

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バックナンバー 13巻7号 , 2015年7月 , pp.610

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本誌の編集体制 13巻7号 , 2015年7月 , pp.611

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次号予告 13巻7号 , 2015年7月 , pp.612

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基本情報

糖尿病診療マスター
13巻7号
(2015年7月発行)

電子版ISSN：1347-8389 印刷版ISSN：1347-8176 医学書院

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