- 有料閲覧
- 文献概要
ICT(Information and Communication Technology)の進歩はめざましく,“クラウド”,“モバイル”,“ビッグデータ”,“ソーシャル”に代表されるような情報技術は,社会インフラからビジネス,個人の日常生活まで,きわめて幅広い領域に影響力を及ぼすようになっています.医療の分野もその例外ではなく,カルテの電子化をはじめ,医療情報の共有やネットワークの構築,医療ビッグデータの活用など,ICTの活用は医療の均てん化や質向上に必要不可欠な状況となってきています.われわれの身近にある携帯情報端末も日々進化しており,タブレット型携帯端末やスマートフォンに続いて,最近ではウエアラブル端末も急速に普及してきています.今後,血糖などの生体情報の取得技術の低侵襲化や非侵襲化が進めば,腕時計型ウエアラブル端末などで,いつでも,どこでも,簡単に生体情報を確認できる時代がくるかもしれません.個人個人が携帯情報端末で自分の健康データを管理することが一般的になってくれば,外来診療の中に日常の健康情報を取り込むことも容易になり,より患者さんの生活に即した療養支援ができるようになることも期待されます.
このようにICTの進歩と医療の進歩とは密接に関係しており,ICTを有効活用することは医療の質向上のためにもきわめて重要な課題といえます.すでに糖尿病診療の領域でもさまざまな取り組みがなされていますが,タブレット端末を活用した療養支援やSNS(social networking service)やクラウドサービスを活用した情報提供や情報共有はその代表例です.SNSは患者と医療者をつなぐ役割を果たす可能性を秘めており,クラウドサービスを活用した情報共有はチームメンバー間での情報共有を容易にし,チーム医療の向上に大きな役割を果たします.医療ビッグデータの活用はこれからの大きな課題ですが,レセプトなどの診療情報や特定健診のデータを活用する「ナショナルデータベース」,「データヘルス」などの取り組みはすでに始まっています.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.