Heart View 25巻8号 (2021年8月発行)

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特集　COVID-19 と循環器−関連する循環器疾患から診療まで−

企画にあたって野出　孝一 25巻8号 , 2021年8月 , pp.707-707

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診る1

COVID-19感染下において心不全をどう診断・評価するか？瀬尾　由広 25巻8号 , 2021年8月 , pp.708-712

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混乱を極めた初期からわずか１年の間に，COVID-19における心血管疾患の診断に関する非常に多くの研究が報告され，データの解釈も変わってきている。この約１年間の解釈の変遷も含めて，診断法に関するcutting-edgeを概説する。

診る2

COVID-19感染下における急性冠症候群をどう診断・評価するか？松本　新吾 25巻8号 , 2021年8月 , pp.713-718

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COVID-19の流行は臨床現場に対しさまざまな影響を与えているが，それは急性冠症候群（acute coronary syndrome：ACS）に関する診療においても同様である。本稿では，COVID-19流行下においてACS診療に携わる際に押さえておくべき知識，およびポイントをまとめる。

診る3

COVID-19感染下において高血圧・腎障害をどう評価・診断するか？下澤　達雄 25巻8号 , 2021年8月 , pp.720-721

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COVID-19感染は，感染時の臓器障害のみならず死亡率が数％という現状から考えると，わが国でも50万人を超える，無事ウイルスが除去できた後のいわゆる「サバイバー」の合併症にも注意を払う必要がある。発症メカニズムとその対処法の詳細については他稿を参照されたい。高血圧や腎障害を評価するに際し，その発症メカニズムと治療にも留意する必要がある。特にサバイバーにおいては感染時に生じたサイトカインストームによる血管内皮障害が重要と考えられているが，そのほかにも，ウイルス感染による内分泌腺の機能異常による二次性高血圧発症も考慮する必要がある。さらに最近，ワクチン接種後に月経不順を訴える例もあり，内分泌機能異常はウイルス感染による直接的な障害のほかに，間接的な障害の可能性も検討する必要がある。まだ病態生理が不明な点も多いが，本稿では，COVID-19感染急性期ならびにサバイバーにおける血圧，腎臓の評価について私見を述べる。

診る4

COVID-19感染下において小児循環器疾患をどう評価・診断するか？山岸　敬幸 , 小柳　喬幸 , 冨田　健太朗 , 立石　実 , 落合　亮太 25巻8号 , 2021年8月 , pp.722-728

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2021年5月，日本ではいまだにCOVID-19の収束はみえず，第4波の緊急事態宣言の最中である。小児の感染例は家庭内感染が主体であり（先行感染者：家族77％，学校関係者6％，幼稚園・保育園関係者6％，家庭教師・塾関係者１％），成人に比して感染者数は全体の10％程度と少ない。死亡例はなく，重症例も少ないため，小児循環器疾患の重症化リスクにはわからない面が多い。本稿では，これまでに報告された小児循環器疾患に対する新型コロナウイルス感染症に関する知見をまとめ，自験例を含めて現状について考える。

診る5

COVID-19感染下においてtelemedicineは有効か？谷田部　淳一 25巻8号 , 2021年8月 , pp.729-736

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COVID-19は，もともとあったtelemedicineの需要を世界的に爆発させた。現状では有事における手段ととらえられがちだが，telemedicineの普及は本来，効果的かつ利便性の高い未来の医療として取り組むべき社会課題である。

識る6

COVID-19感染はなぜ心不全を引き起こすのか？末永　祐哉 25巻8号 , 2021年8月 , pp.737-739

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心不全は，現在全世界的な高齢化を背景としてその患者数が増加している疾患である。COVID-19の多くの観察研究からその循環器疾患とのかかわりが注目されているが，心不全も例外ではない。

識る7

COVID-19感染はなぜ血栓症を引き起こすのか？　−ウイルスに対する生体防御機構の総論も含めて− 佐野　元昭 25巻8号 , 2021年8月 , pp.740-743

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COVID-19感染に伴う血栓症は，重症例においてサイトカインストームによって発症するだけでなく，無症状や軽症例の感染者でも起こりうる。D-dimer高値例に高用量の抗凝固療法を治療目的で使用するだけでなく，無症状，軽症例の感染者にも微小血栓形成予防目的に低用量の抗凝固療法［直接経口抗凝固薬（direct oral anticoagulants：DOAC）など］を積極的に施行すべきか否か，有効性を示唆する臨床研究の報告も出始めていることから，真剣に検討すべきと考える。

識る8

COVID-19感染はなぜ血管炎を引き起こすのか？住友　直方 25巻8号 , 2021年8月 , pp.744-748

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コロナウイルス（CoV）はRNAウイルスに属し，感冒の原因ウイルスであり，季節性に流行を繰り返し，重症化することはきわめてまれである。ヒトに感染するのは，主に4種類（HCoV2-229E，-HKU1，-NL63，-OC43）であることが知られている1）。新しいCoV感染症としては，2002年に流行した急性呼吸器症候群（SARS-CoV），2012年に中東で流行した中東呼吸器症候群（MERS-CoV）が知られているが，これらの感染は全世界に広がることはなかった。しかし，新型コロナウイルスCOVID-19は，重症な呼吸器感染症（severe acute respiratory syndrome coronavirus 2：SARS-CoV-2）を引き起こし，全世界ですでに200万人以上の死者を出している。特に高齢者や合併症をもつ場合に重症化しやすいことが知られているが，小児や若年者では比較的軽症であることが報告されている。重症化の主な要因は，肺炎と血栓であることがわかってきた。また，小児や若年者では川崎病に類似した症状を呈する症例があることが報告されている。本稿では，COVID-19による血管炎の発症機序，川崎病類似症候群の特徴について解説する。

識る9

COVID-19感染はなぜ腎障害を引き起こすのか？柴田　茂 25巻8号 , 2021年8月 , pp.749-754

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新型コロナウイルス感染症（COVID-19）において，肺や心血管系が標的臓器となることはよく知られているが，腎臓にも高頻度に障害を引き起こすことが明らかとなりつつあり，重要な予後規定因子の１つとして注目されている。本稿では，COVID-19に合併する腎障害の種類と想定されるメカニズムについて概説する。

識る10

【Expertise】COVID-19感染下でのわが国と世界の循環器医療の現状水野　篤 25巻8号 , 2021年8月 , pp.755-760

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筆者は，日本循環器学会「COVID-19対策特命チーム」の一員として2020年4月と8月に診療体制の実態について全国調査を実施したので，本稿で紹介する。

治す11

COVID-19感染下の心不全をどう治すか？土井　駿一 , 石橋　祐記 , 木田　圭亮 25巻8号 , 2021年8月 , pp.761-765

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COVID-19感染下における心不全診療には，さまざまな制限が設けられている。その問題点を提示しながら，診療をどう継続すべきか述べる。

治す12

COVID-19感染下の急性冠症候群をどう治すか？伊苅　裕二 25巻8号 , 2021年8月 , pp.767-770

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COVID-19の蔓延により，急性冠症候群（acute coronary syndrome：ACS）の診療体制が大きく変化した。COVID-19のスクリーニングにより，door-to-balloon時間の延長を余儀なくされている。しかし日本においては，9割以上でprimary PCIを施行できてきた。COVID-19感染症患者の心筋梗塞は，冠動脈閉塞のない心筋梗塞（myocardial infarction with non-obstructive coronary arteries：MINOCA）が多く，強い血栓症と炎症が発症に関与していると考えられる。

治す13

COVID-19感染下の高血圧をどう治すか？甲斐　久史 , 福田　由香 , 佐々木　基起 25巻8号 , 2021年8月 , pp.771-778

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新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の急性期重症化，さらには慢性期におけるlong COVID発症には，血管内皮傷害や血管炎症が関与する。これらを予防するためにも，高血圧など日常的包括的リスク管理による健全な血管保持が重要となる。

治す14

COVID-19感染下の不整脈をどう治すか？里見　和浩 25巻8号 , 2021年8月 , pp.779-781

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COVID-19感染例において，循環器疾患合併例は予後が不良であることが報告されている。ウイルス感染による特異的な不整脈はなく，重症例において，心房細動や非持続性心室頻拍を認めており，患者の全身状態悪化に伴うものと考えられる。COVID-19蔓延期においても，必要な不整脈診療は継続して行う必要がある。地域ごとの感染状況，不整脈疾患の重症度，医療資源の供給体制を各医療機関で考慮のうえ，適切な感染防止を行うことが望ましい。

治す15

【Expertise】新型コロナに日本循環器学会と日本循環器連合はCOVID-19感染下でどう対応したか？岸　拓弥 25巻8号 , 2021年8月 , pp.782-785

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2020年初頭には誰も予想すらできなかった新型コロナ感染症（coronavirus disease 2019：COVID-19）パンデミックに世界が陥っている。2021年5月8日の時点で全世界の感染者は1億5,000万人を，死亡者も325万人を超えている。日本国内でも感染者は60万人を超え，死亡者も10,000人を超える状況にある。感染のピークは第4波を迎え，3回目の緊急事態宣言が出される地域もあり，社会全体が大変な不安と混乱に陥ったが，医療体制もこれまで日本の医療界は体験したことのない崩壊の危機に瀕している。そこで本稿では，日本循環器学会が中心となって日本循環器連合で取り組んだCOVID-19対策について概略を述べる。

連載　心臓の解剖【知っておきたい知識 −疾患の病態生理から治療へつなげる解剖学−】

第5回

左室①（基本構造）井川　修 25巻8号 , 2021年8月 , pp.786-793

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●心室短軸断面では，左室「壁」は凹型の中隔壁と凹型の自由壁（壁厚10mm）で構成され左室「内腔」は円型を呈し，その構造の軸はらせんを描いている。 ●左室「内腔」は僧帽弁前尖およびその弁下組織により，流入路領域と流出路領域に分けられる。　●左室「内腔」は，右室「内腔」と「らせん状絡み合い構造」を呈している。　●左室流入路と流出路の構造は，正確に対応させて理解することが必要である。

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目次 25巻8号 , 2021年8月 , pp.705-705

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次号予告／バックナンバー 25巻8号 , 2021年8月 , pp.794-794

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奥付 25巻8号 , 2021年8月 , pp.795-795

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基本情報

Heart View
25巻8号
(2021年8月発行)

電子版ISSN：2423-964X 印刷版ISSN：1342-6591 メジカルビュー社

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