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内容のポイント Q&A
Q1 疾患の病態と自然経過は?
アルツハイマー病(AD)は,アミロイドβ(Aβ)の蓄積が発症の約20年前から始まり,次いでタウ蛋白の蓄積,神経変性,脳萎縮へと進行する.臨床的には,軽度認知障害(MCI)を経て認知症へと至る.近時記憶障害から始まり,見当識障害,遂行機能障害,視空間認知障害,言語障害等の認知機能障害に認知症の行動・心理症状(BPSD)を伴いながら緩徐に進行する.最終的には,ADL全般に介助を要し,嚥下障害や感染症を合併して死に至る進行性の神経変性疾患である.
Q2 従来の治療法とその効果,副作用,使用状況は?
従来の治療薬は,ドネペジル等のコリンエステラーゼ(ChE)阻害薬とNMDA受容体拮抗薬(メマンチン)である.これらは脳内の神経伝達物質を調整する「症状改善薬」であり,一時的な症状改善や進行遅延は期待できるが,脳内の病理変化そのものを止めることはできない.主な副作用は,ChE阻害薬では消化器症状(悪心・嘔吐・食思不振・下痢),徐脈等で,メマンチンでは傾眠,ふらつき,便秘,頭痛等である.単剤療法から開始し,進行に合わせて変更や両者を併用する手法が定着している.
Q3 新しい薬物治療とその効果,副作用,普及の可能性は?
レカネマブやドナネマブ等の抗Aβ抗体薬が登場した.これらはAβプラークを脳内から除去し,認知機能障害の進行を約30%程度抑制する.特徴的な副作用として,脳浮腫や微小出血を伴うARIA(アミロイド関連画像異常)がある.高額な薬価,投与条件(早期診断,PET/脳脊髄液検査),点滴設備,MRI監視体制の必要性が普及のハードルだが,早期診断技術の向上により,標準治療へと組み込まれつつある.
Q4 今後の薬物治療の進歩の可能性は?
Aβだけでなくタウ蛋白を標的とした治療や,神経炎症,シナプス保護を目指した多角的なアプローチが期待される.また,診断技術(血液バイオマーカー)の普及により,より早期(プレクリニカル期)からの介入が検討されている.将来的には,抗Aβ抗体と対症療法の併用,あるいは複数の疾患修飾薬を組み合わせたコンビネーションセラピーが主流となり,リハビリテーションとの相乗効果がより重視される時代になるかもしれない.

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