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は じ め に
腱板断裂は中高年に多く発生する疾患であり,特に60歳以上では加齢変性,過負荷,血流障害などを背景として発症頻度が高い.Yamamotoらは一般住民を対象にした調査で,腱板断裂の有病率は50歳代で約13%,70歳代で約46%,80歳代では50%に達することを報告している1).腱板断裂による疼痛や可動域制限は日常生活動作(ADL)や労働,スポーツ活動に重大な支障をきたすため,保存療法に抵抗するものには手術療法が必要となる.
近年,鏡視下腱板修復術(arthroscopic rotator cuff repair:ARCR)は低侵襲かつ確実な修復が可能な術式として広く普及している2,3).しかし,大断裂・広範囲断裂や高齢症例では,術後再断裂の問題や修復腱の生着不良が報告されており,ARCR単独での限界も指摘されている.このような修復困難例に対しては,鏡視下上方関節包再建術(arthroscopic superior capsular reconstruction:ASCR)やリバース型人工肩関節全置換術(reverse shoulder arthroplasty:RSA)が代替手術として選択されつつある.ASCRはMihataらにより2013年に臨床報告された術式であり4),RSAは2014年に本邦に導入された手術であるため,これらの術式間での治療成績比較や適応基準についてはいまだ明確な基準が確立していない5,6).また,断裂サイズや年齢がARCRの成績に与える影響については,十分に検討された報告が少ない.そこで本研究では,筆者が施行したARCR例を対象に臨床成績および画像評価を行い,ARCRの適応範囲と限界について検討した.

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