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はじめに
白血病や悪性リンパ腫などの造血器腫瘍は抗がん薬への感受性が高く,化学療法が第一選択治療として行われる.しかし,化学療法のみで根治が望めない場合,造血幹細胞移植が適応となる.造血幹細胞移植では,移植前処置として大量化学療法,全身放射線照射などを行い腫瘍細胞および免疫担当細胞の根絶を図る.その後,造血幹細胞を輸注し,造血機能の回復を促す.移植後,生着にいたるまで患者は重度の骨髄抑制状態となるため,真菌,細菌,ウイルスなど多様な感染症に罹患しやすく,看護師は徹底した感染予防を行う必要がある.また,生着前は出血傾向も強く,出血予防も重要な看護である1).前処置の大量化学療法の強い副作用は移植後も持続するため,副作用症状のコントロールも看護師の重要な役割である1,2).加えて同種移植では,移植片対宿主病(graft versus host disease:GVHD)が多岐にわたる症状として出現する.造血幹細胞移植を受ける患者は身体的苦痛のみならず精神的苦痛,社会的苦痛,スピリチュアルペインという全人的苦痛を抱えており,その緩和が求められる.また,患者自身も,移植後の症状を医療スタッフに適切に伝えること,感染予防や出血予防といった生命維持に直結するセルフケアを継続することが必要となる.看護師は入院中から患者の退院後の生活を見据えて,患者に清潔維持に関するセルフケアの促進や,移植後合併症症状のセルフマネジメントに関する指導を行う必要がある.
今回,知的障害により苦痛症状の表出がむずかしく,清潔保持や症状マネジメントのセルフケアが困難であった患者に対して,患者の特性や合理的配慮をふまえた統一した看護を実施した.その結果生着にいたった事例を報告する.

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