連載 臨床実践
Medical Current of
白血病—「不治」から「治癒」へ/造血幹細胞移植のこれまで・これから
中村 忍
1
1金沢大学医学部第三内科
pp.668-672
発行日 1999年7月1日
Published Date 1999/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905886
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「不治」から「治癒」へ
白血病,とくに急性白血病は今世紀でもっとも治療法の進歩した悪性腫瘍の1つであると考えます.晴天の霹靂のように発症し,手術ができず,急速に死への転帰を取ることから,1935(昭和10)年の内科学会宿題講演で,わが国の血液学の祖の1人である名古屋医科大学の勝沼精蔵教授は「真性悪性腫瘍(癌のこと,引用者注)ヨリモ更ニ急激ニシテ惨酷ナル臨床的転帰ヲ診断確定ト共ニ予言シナケレバナラナイ」と述べ,手の下しようのないものとして苦悩の報告をしています.
60年を経た現在,急性白血病は治癒の期待できる悪性腫瘍へと変化し,次の世紀には原因の解明とこれに基づいた治療法の開発により,完全に克服できることが期待されます.このような治療の進歩に役立っている最近の話題を,以下に解説します.なお,白血病全体についての詳細は,筆者の編集した『medicina』34巻6号「白血病—日常診療に必要な知識」を参考にして下さい.
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