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連載 外来診療で役立つ 漢方の使い方・考え方 第3回
心不全への次の一手:当帰芍薬散
-「血虚+水毒」を細胞レベルで整え,フレイルサイクルをリセットす
小笹 寧子
1,2
1高の原中央病院 循環器内科・リハビリテーション科
2京都大学医学部附属病院 初期診療・救急科
pp.1294-1297
発行日 2026年9月1日
Published Date 2026/9/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2026100022
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はじめに
心不全診療の現場ではガイドラインに基づき,利尿薬,SGLT2 阻害薬,ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(mineralocorticoid receptor antagonist:MRA)などの標準治療を最適化しても,「心不全は改善したのに浮腫が残る」,「疲れやすくて歩けない」,「食欲がなくリハビリが進まない」と訴える患者にしばしば遭遇します.こうした症例を詳細に観察すると,単なる体液過剰では説明できない「水の分布異常」が存在します.漢方医学では,この水分代謝の乱れを「水毒(水滞)」と呼びます.
心不全では,心拍出量低下や静脈うっ血により,腎血流低下,神経体液性因子の活性化,組織の慢性炎症,毛細血管透過性亢進が生じます.その結果,必要な血管内水分は不足しているにもかかわらず,間質には水が停滞するという矛盾した状態も生じやすくなります.つまり,単に「水を抜く」だけではなく,「水と血を必要な場所へ巡らせる」ことが重要になります.この水分代謝異常および血液循環障害の乱れを整える治療戦略として注目されるのが

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