特集 産婦人科漢方医学―基礎と臨床のエビデンス―
基礎研究における漢方のエビデンス
6.妊娠高血圧腎症に対する当帰芍薬散の効果
八木 一暢
1
,
味村 和哉
2
K. Yagi
1
,
K. Mimura
2
1堺市立総合医療センター産婦人科
2大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学講座
pp.255-260
発行日 2023年3月1日
Published Date 2023/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002489
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妊娠高血圧腎症(PE)の病態において2-stage theoryという概念が広く受け入れられている。胎盤の形成不全から引き続き起こる,胎盤由来の血管新生関連因子であるplacental growth factorとsoluble fms-like tyrosine kinase-1のバランスの破綻による血管内皮障害がPEの症状を引き起こすとされる。この理論に基づきPEの治療方法や予防方法の研究が現在進められている。われわれは漢方薬ライブラリーを用いたin vitro screeningというdrug repositioningの手法を用いることで当帰芍薬散がPEの治療または予防薬になりうる可能性を報告した。本稿では,PEの病態とともに,この病態における当帰芍薬散の効果について解説する。
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