特集 産婦人科漢方医学―基礎と臨床のエビデンス―
基礎研究における漢方のエビデンス
7.子宮内膜症に対する当帰芍薬散の効果
牧 瑛子
1
,
甲賀 かをり
2
E. Maki
1
,
K. Koga
2
1東京大学医学部附属病院女性診療科・産科
2千葉大学大学院医学研究院生殖医学
pp.261-266
発行日 2023年3月1日
Published Date 2023/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002490
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子宮内膜症は生殖可能年齢女性の5~10%に存在し,様々な部位に発症して,月経困難症や慢性骨盤痛,不妊症などの症状を引き起こす。薬物療法ではホルモン製剤が選択されることが多いが,その副作用により長期使用が困難となる場合や,避妊効果により妊娠を望む期間中は使用しにくい場合がある。当帰芍薬散は,以前から婦人科系疾患に使用されているが,その作用機序の詳細はいまだに不明である。しかし,子宮内膜症病変の縮小効果や子宮内膜症による炎症の抑制,妊孕性を改善する可能性が示唆されており,ホルモン製剤以外の薬物療法の選択肢の1つとして考慮され,今後さらなる研究の蓄積によりその有用性が期待できる。
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