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はじめに
「めまい」は,医療機関で3番目に多い主訴であり,全受診者の3〜5%を占める31).しかし,それが意味する症状は単一ではない.めまい(眩暈)は「め」や「めへん」の語が示すように,元来は視覚の異常を伴う.代表的な訴えは,天井が回って見えるといった,いわゆる回転性めまい(vertigo)である7).その場合,患者は同時に,真っ直ぐに立てない,よろける,片寄るなど,体のバランスが保てない平衡異常を訴えることが多い.一方で,体がふらつく,揺れている,雲の上を歩いている感覚も「めまい」として表現することがある.こうしためまいは浮動性めまい(dizziness)であり,視覚異常を伴わない.あるいは回転性めまい,浮動性めまいもなく,体がふらつくだけでも患者は「めまい」と訴えることがある.
したがって「めまい」と訴える患者が意図する症状はさまざまであり,医療者はそれを問診や診察から鑑別し,諸検査も加え診断,治療しなければならない.「めまい」と平衡異常は一見,表裏一体の症状のように思われるが,必ずしもそうではない.平衡は主に①前庭系,②視覚系,③筋および関節からの固有知覚系,の3つから感覚情報を得て,これを統合解析することで保つことが可能となる1).これらの感覚情報間にミスマッチやアンバランスが生じると,めまいやふらつきといった現象が生じる.めまいと平衡異常の関係は平山7)の図に詳しい(図 1).①②③の3系統は,独立して機能しているのではなく,中枢神経内で相互にインパルスの出力や入力をしつつ密接に連携しており,特に前庭系は眼球運動において視覚と深く連動している.本稿では,脳血管障害で生じる「めまい」を中心に記述する.

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