Japanese
English
総説
椎骨動脈を中心とした解離性脳動脈瘤の病態,病理と治療
Clinical Features, Pathology, and Treatment of Cerebral Dissecting Aneurysms Mainly on the Vertebral Artery
水谷 徹
1
Tohru MIZUTANI
1
1昭和大学脳神経外科講座
1Department of Neurosurgery, Showa University
キーワード:
cerebral artery dissection
,
vertebral artery
,
clinical features
,
pathology
,
treatment
Keyword:
cerebral artery dissection
,
vertebral artery
,
clinical features
,
pathology
,
treatment
pp.825-843
発行日 2019年8月10日
Published Date 2019/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436204034
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Ⅰ.はじめに
脳動脈解離は従来,比較的稀な疾患とされたが,最近は,MRI,MRA,CTAなどの発展により発生時の頭痛を契機として,あるいは比較的若い年齢の特に延髄梗塞の原因として未破裂の状態で診断される機会が増加し,一般的な疾患になった.
本質的には,血管腔を流れる血液の動脈壁への進入により壁が解離し,動脈瘤化,狭窄・閉塞を生じる病態である.解離部位の穿通枝を含む分枝血管の閉塞や遠位塞栓を来せば脳梗塞となり,破裂すればくも膜下出血(subarachnoid hemorrhage:SAH)となる.解離によって生じた壁内の腔を偽腔あるいは解離腔と呼ぶ.発生時には頭痛を伴うことが多く,発生より2〜3週間以内の急性期は,病態が不安定で形状変化も生じやすい.診断には画像所見とともに,頭痛に関する詳細な病歴の聴取が欠かせない.画像所見の特徴と自然歴を理解し,適切な初期対応をとることが重要である.
40〜50歳台で,普段経験しないような片側の後頭部痛,後頚部痛,めまいを訴える患者に対しては,常に椎骨動脈(vertebral artery:VA)の脳動脈解離も診断の念頭に置く姿勢が必要である.
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