Japanese
English
特集 精神科診療でジェンダーに直面するとき
【診療におけるジェンダーの視点】
認知症診療をジェンダーの視点から読み解く—災害精神医学の視点を手がかりとして
Reconsidering Dementia Care from a Gender Perspective : Insights from Disaster Psychiatry
奥山 純子
1
Junko Okuyama
1
1尚絅学院大学総合人間科学系
1Department of Human Health and Nutrition, Shokei Gakuin University
キーワード:
認知症診療
,
dementia care
,
ジェンダー
,
gender
,
家族介護
,
family caregiving
,
健康生成
,
salutogenesis
,
家族支援
,
family support
Keyword:
認知症診療
,
dementia care
,
ジェンダー
,
gender
,
家族介護
,
family caregiving
,
健康生成
,
salutogenesis
,
家族支援
,
family support
pp.999-1006
発行日 2026年7月15日
Published Date 2026/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048812810680070999
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- 参考文献 Reference
抄録
認知症診療において精神科医が向き合うのは,患者本人の認知機能障害や行動・心理症状のみではない。受診の遅れ,服薬管理,生活維持,将来への不安,介護疲弊など,診療の背後には常に家族の問題が存在し,その負担はしばしばジェンダー化された役割分担の上に成り立っている。本稿では,認知症を家族の生活基盤や役割構造に長期的影響を及ぼす出来事として捉え,災害精神医学における危機管理の視点を参照しつつ,認知症診療におけるジェンダー化されたケア負担を検討した。特に,女性家族が「気づく人」「つなぐ人」「支える人」として位置づけられやすい構造を指摘した。また,認知症の診断以前から,将来のケアを見越した不安や役割意識が生じうる点や,ダブルケアや制度利用調整の負荷が女性に集中しやすい点について論じた。加えて,健康を病気の不在ではなく,人が文化的・社会的・個人的文脈のなかで動的に生成していく過程として捉える視点を導入し,認知症診療を患者と家族の生活再構築と適応を支える実践として位置づけた。精神科医に求められるのは,患者本人の症状評価にとどまらず,「誰がこの診療を支えているのか」を診ることであり,見えにくい家族負担を構造的問題として言語化し,支援の偏りを可視化することである。

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