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特集 地域で育つ療育—全国の実践と課題
日本の療育の現状と課題:総論
Japan's current status and challenges in early intervention services for children with disabilities
日戸 由刈
1
Yukari Nitto
1
1相模女子大学人間社会学部
1Faculty of Human Society, Sagami Women's University
キーワード:
インクルージョン
,
多層的な支援システム
,
保護者支援
Keyword:
インクルージョン
,
多層的な支援システム
,
保護者支援
pp.583-589
発行日 2026年6月10日
Published Date 2026/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220540060583
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はじめに
「療育」は,19世紀にドイツで“Heilpädagogik”(Heil=治癒,Pädagogik=教授法)と呼ばれた治療法を,1940年代,整形外科医の高木憲次がより包括的な概念として紹介したことから始まった1).対象は肢体不自由児であったが,北九州市総合療育センターの初代所長となった高松鶴吉が,高木の理念を継承しつつ,対象をすべての障害児に拡大させた.
高松は療育を「医療,訓練,教育,福祉などの現代の科学を総動員して障害を克服し,その児童が持つ発達能力をできるだけ有効に育て上げ,自立に向かって育成すること」と定義している2).この理念を実践するには,療育は施設単独で行う子どもへの支援や訓練にとどまらず,幼少期から成人期まで子どもの人生を見通し,長期にわたって地域生活を支える,専門性の高い包括的な支援システムであるべきと考えられる.本特集では,異なる地域特性のもとで設計された療育システムの紹介がなされている.
筆者は療育システム創設の黎明期である1992年,横浜市総合リハビリテーションセンターの発達支援部門に福祉職として就職し,センター内の児童発達支援事業所の園長職を含めて25年間を療育の現場で過ごした.この間,包括的な支援システムであるべき療育は断片化され,単独の事業所で異なる理念や目的に沿った支援がなされ玉石混交の状態となっている地域が少なくない.療育の歴史を振り返り,筆者の実感を織り交ぜながら,現状と課題を整理する.

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