特集 アディクション支援のフロントライン
依存症専門作業療法プログラム「Real生活プログラム」
村田 雄一
1
,
山元 直道
2
1埼玉県立精神保健福祉センター社会復帰部
2国立精神・神経医療研究センター病院精神リハビリテーション部
pp.65-72
発行日 2025年6月5日
Published Date 2025/6/5
DOI https://doi.org/10.69291/pt51070065
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Ⅰ はじめに
薬物依存症の対象が覚醒剤などの違法薬物から処方薬・市販薬といった身近な薬へと広がりをみせる中,多様なニーズを抱える物質使用障害患者に対応できるプログラムの開発が求められている。認知行動療法をベースとしたSMARPP(Serigaya Methamphetamine Relapse Prevention Program)は標準的な回復支援プログラムとして全国に広がりをみせているが,SMARPPにつながることが難しい患者も一定数存在することが課題となっていた。 また,入院医療の短期化や対象疾患の多様化などの流れを受け,精神科作業療法において提供するプログラムも変化を求められていた。アディクション分野に限らず,入院医療において完結することのないリハビリテーションを外来でどのように展開していくかは,作業療法士が抱える課題であった。
国立精神・神経医療研究センター病院の精神リハビリテーション部では,この2つの課題に対して,目的や疾患に特化した外来作業療法プログラムの充実を図ることとした。その一つの取り組みとして,物質使用障害患者を対象とした「Real生活プログラム(リア活)」を開発し2018年8月から実施している。本稿では,アディクション問題への作業療法アプローチやリア活の実践について紹介し,標準的な治療につながることが難しい物質使用障害患者の回復を促進するために必要な支援について考察していく。

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