論評
医療機関におけるハード及びソフト装備率の労働生産性への影響 ―有形及び無形固定資産額と医療用器械備品及びソフトウェア額
荒井 耕
1
,
古井 健太郎
2
1一橋大学大学院経営管理研究科教授
2帝京大学経済学部講師
pp.6-14
発行日 2025年12月21日
Published Date 2025/12/21
DOI https://doi.org/10.57527/JUNPO2985003
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1 問題意識 現在、医療の現場では医療職を中心に人手不足に陥っており、今後も中長期的に人手不足がさらに進行すると予測されている。このため業務効率化などを進めて労働生産性を向上させていく必要性が高まっている。厚生労働省は、「医療・福祉サービス改革プラン」[厚生労働省 2019]を策定し、ロボット・AI・ICT等の実用化推進などにより、2040年に向けて労働生産性を5%向上させることを目指している。 こうした中、病院界でも労働生産性関連指標への注目が見られつつある。筆者が2024年に実施した病院経営医療法人への調査によれば、職員1人当たり事業収益及び利益をそれぞれ回答病院群の46%及び42%が算出しており、また算出病院では44%及び41%がその経年比較管理を実施し、さらに職員当たり事業利益は事業計画策定や設備機器投資に際して半数以上の法人で考慮されていた[荒井 2025]。また労働生産性の向上につながる業務効率化を実現する手段として、多くの病院がICTに期待を寄せている。医政局の下で荒井班として2025年に実施したDPC対象病院への調査によれば、ICTの導入に期待する諸効果の中でも、業務効率化が最も重視されていた[荒井・阪口 2025]。また本調査によれば、ICTの導入に際する考慮要素[注1]として費用対効果の大小(いわばコストパフォーマンスの良さ)が最も重視度が高い要素であり、ICTによる生産性向上への高い意識が推察される。

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