論評
社会保険料の負担への合意を得るための2つの壁―世論調査から分かること
岸下 大樹
1
1一橋大学大学院経済学研究科准教授
pp.10-16
発行日 2025年9月11日
Published Date 2025/9/11
DOI https://doi.org/10.57527/JUNPO2975004
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1 はじめに ここ数年、社会保険料の負担に関する不満が現役世代で高まっているといわれる。こうした不満を反映してか、個人事業主が社会保険料負担を節約する方法として「マイクロ法人」の設立を行うという手法がインターネット上で広まっている(朝日新聞2025年7月2日「『社会保険料が7万円安くなった』制度の信頼揺らぐ手法に懸念の声」)。実際、少子高齢化の進展に伴い、社会保険料の負担は着実に増加してきた。1998年には、2人以上からなる勤労者世帯では収入の6〜7%に過ぎなかった負担割合は、2023年には11〜12%に達している[是枝・平石(2025)]。こうした中、名目賃金が上昇しても手取り額が思ったほど増えないと感じるひとも多い。

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