特集 虚血性心疾患
治療 様々な病態を示す冠動脈疾患に対する治療update
虚血性心疾患の心臓リハビリテーション・生活習慣改善の重要性
網谷 英介
1
1東京大学医学部附属病院循環器内科
キーワード:
▶心臓リハビリテーションは運動療法を軸として非薬物的方法で個別に,なおかつ多面的な要素により包括的に対応することを意味する.
,
▶心臓リハビリテーションは急性期・回復期・維持期に分けられ,それぞれの目的が異なる.
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▶回復期の心臓リハビリテーションは導入率が低いという問題があり,遠隔医療などの技術を用いることでの改善が期待できる.
Keyword:
▶心臓リハビリテーションは運動療法を軸として非薬物的方法で個別に,なおかつ多面的な要素により包括的に対応することを意味する.
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▶心臓リハビリテーションは急性期・回復期・維持期に分けられ,それぞれの目的が異なる.
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▶回復期の心臓リハビリテーションは導入率が低いという問題があり,遠隔医療などの技術を用いることでの改善が期待できる.
pp.1582-1585
発行日 2025年10月1日
Published Date 2025/10/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.10_024
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はじめに
リハビリとは“re-habilitate”という言葉から示されるように「再び適応させる,能力を得る」という意味であり,障害を何らかの形で軽減,克服することにより,元の生活に戻すことを指し示すが,それを理解するには疾患における「障害」とは何かを確認することが重要である.日本心臓リハビリテーション学会によると「心臓リハビリテーションとは,心血管疾患患者の身体的・心理的・社会的・職業的状態を改善し,基礎にある動脈硬化や心不全の病態の進行を抑制または軽減し,再発・再入院・死亡を減少させ,快適で活動的な生活を実現することをめざして,個々の患者の『医学的評価・運動処方に基づく運動療法・冠危険因子是正・患者教育およびカウンセリング・最適薬物治療』を多職種チームが協調して実践する長期にわたる多面的・包括的プログラムをさす」と定義されている.虚血性心疾患の障害は運動耐容能低下,生命時間の短縮,入院などの医療介入の発生,生活の質の低下,精神的状態の悪化などが含まれるが,心臓リハビリテーション(心リハ)はそれらの障害に対して運動療法を軸として非薬物的方法で個別に,なおかつ多面的な要素により包括的に対応し,障害を軽減する介入である(図1).虚血性心疾患といっても心リハが介入し期待される局面は多様であり,いくつかをピックアップして紹介する.

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