FOCUS
超音波乳がん検診の可能性—J-STARTからわかったこと
鈴木 昭彦
1
1東北医科薬科大学乳腺・内分泌外科
pp.1111-1113
発行日 2020年10月1日
Published Date 2020/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208145
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はじめに
乳がん検診においてマンモグラフィは,唯一死亡率減少効果が科学的に証明されている検診方法であるが,高濃度乳房においては診断精度が低下することが弱点であることも周知の事実である.特に40歳代の女性では,それ以上の年代の女性と比較して検診での乳癌発見の感度が低下することが明らかであり1),わが国において罹患率の高いこの年代への検診精度を向上させることが喫緊の課題といえる.
一方,超音波検査は再現性や客観性の点でマンモグラフィに劣るものの,高濃度乳房における腫瘤の検出力に優れる検査であるため,マンモグラフィの弱点を補える検査法として期待されている.このような背景のなか,がん対策のための戦略研究「乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験(Japan strategic anti-cancer randomized trial:J-START)」が企画され,2007年から症例の集積を始め,2016年にその成果が公表された2).本稿ではJ-STARTの結果について詳述するとともに,超音波検診の可能性について述べてみたい.
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