特集 関節リウマチ
総説 関節リウマチ─診断と治療の進展
関節リウマチ診療ガイドライン(JCR)2024
川人 豊
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1京都府立医科大学膠原病・リウマチ・アレルギー科
キーワード:
関節リウマチ診療ガイドライン(JCR)2024
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▶関節リウマチ(RA)の治療は,メトトレキサート(MTX)による治療に加え,生物学的製剤やJAK阻害薬の使用により寛解率が向上している.
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▶一方で,薬剤選択の多様性,高齢化による合併症,医療コストなどの課題が生じている.
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▶RA治療を平均化するための包括的な診療指針として,RA薬物治療,非薬物治療・外科的治療のアルゴリズムを示した「関節リウマチ診療ガイドライン2024」が公表されている.
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▶RAの初期治療では,使用禁忌や副作用のリスク因子がなければ,まずMTXの単独療法から開始するが,使用できない場合は他のcsDMARDの併用も検討する.
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▶関節炎症状が強い場合は,csDMARDが効果発現するまでの間は,少量の副腎皮質ステロイドの短期間使用を考慮する.
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▶MTXの皮下注射製剤が消化管障害などの副作用が少なく利点も多いことから,経口製剤と同等に推奨されている.
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▶csDMARDで効果不十分な場合,生物学的製剤であるbDMARDやJAK阻害薬などの分子標的薬の投与を検討する.
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▶JAK阻害薬はMTX併用下で短期使用ではTNF阻害薬と同等に推奨され,長期使用では安全性と医療経済面からTNF阻害薬が推奨されている.
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▶高齢RA患者での分子標的薬の使用には,感染症,悪性腫瘍,心血管イベント,血栓イベントに注意する.
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▶RAは早期診断と治療が重要なため,他疾患と鑑別困難や原因不明の関節症状がある場合は,専門医への紹介を考慮する.
Keyword:
関節リウマチ診療ガイドライン(JCR)2024
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▶関節リウマチ(RA)の治療は,メトトレキサート(MTX)による治療に加え,生物学的製剤やJAK阻害薬の使用により寛解率が向上している.
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▶一方で,薬剤選択の多様性,高齢化による合併症,医療コストなどの課題が生じている.
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▶RA治療を平均化するための包括的な診療指針として,RA薬物治療,非薬物治療・外科的治療のアルゴリズムを示した「関節リウマチ診療ガイドライン2024」が公表されている.
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▶RAの初期治療では,使用禁忌や副作用のリスク因子がなければ,まずMTXの単独療法から開始するが,使用できない場合は他のcsDMARDの併用も検討する.
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▶関節炎症状が強い場合は,csDMARDが効果発現するまでの間は,少量の副腎皮質ステロイドの短期間使用を考慮する.
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▶MTXの皮下注射製剤が消化管障害などの副作用が少なく利点も多いことから,経口製剤と同等に推奨されている.
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▶csDMARDで効果不十分な場合,生物学的製剤であるbDMARDやJAK阻害薬などの分子標的薬の投与を検討する.
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▶JAK阻害薬はMTX併用下で短期使用ではTNF阻害薬と同等に推奨され,長期使用では安全性と医療経済面からTNF阻害薬が推奨されている.
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▶高齢RA患者での分子標的薬の使用には,感染症,悪性腫瘍,心血管イベント,血栓イベントに注意する.
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▶RAは早期診断と治療が重要なため,他疾患と鑑別困難や原因不明の関節症状がある場合は,専門医への紹介を考慮する.
pp.1161-1167
発行日 2025年8月1日
Published Date 2025/8/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.08_006
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関節リウマチの治療の進歩と治療指針
関節リウマチrheumatoid arthritis(RA)の治療は,第一選択薬とされる経口の従来型合成疾患修飾性抗リウマチ薬conventional synthetic disease-modifying antirheumatic drug(csDMARD)であるメトトレキサートmethotrexate(MTX)を中心に,近年開発承認された生物学的製剤である生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬biologic disease-modifying antirheumatic drug(bDMARD)やJanus kinase(JAK)阻害薬などの分子標的治療薬を使用し,さらに治療目標に向かって厳密な強化治療を行う「目標達成に向けた治療:Treat-to-Target(T2T)」1)の概念に沿った治療方針により,寛解に至る確率が高くなりその予後が著しく改善した.その一方で,薬剤選択の多様性,患者の高齢化によるさまざまな合併症への対応,医療コストなどの多くの課題が生じてきている.この状況で,日常診療におけるRA治療を平均化するための包括的な診療指針として,日本リウマチ学会により「関節リウマチ診療ガイドライン2020」が作成され,その改訂版である2024年版が公表されている2).ここでは,2024年版の改訂部分を踏まえながら,日常診療のへのRA診療のベストプラクティスについて概説する.

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